「間」を征した、ビートたけしの貴重な芸談、裏話!
公開日:2013/4/28
間抜けなもの。
「友だちの友だちはアルカイダ」と言う政治家。
漫才や落語の舞台を「真面目にやれ!」とヤジる客。
風俗の待合室に置かれた真面目な雑誌。
(笑)という表示をするテレビのテロップ。
――ビートたけしは『間抜けの構造』で、様々な、間の悪いもの、「間抜け」を紹介している。芸人として、映画監督として、「間」について日頃考え続けているからなのだろうか、その観察力、分析力はあっぱれだ。
本書はビートたけし流の「間抜け論」だ。だが、「論」と言ってもそんなお堅いものじゃない。社会のありとあらゆる「間抜け」にたけしが痛快なツッコミを交え、持論を展開していく。
行楽地で、「今日はなんでこんなに混んでいるんだ」っていう奴。お前が来るからだよ、ばかやろう。
ストリップ劇場で、「ちゃんとやれ!」と言うのも、間抜け。裸見てよだれ垂らしながら言う台詞じゃねぇ。
――ありとあらゆる「間抜け」を見つけるさまは、時に笑いを誘い、時に考えさせられる。本書に書かれた内容からは、世の中にある些細な面白さをも見失うまいとするたけしの情熱すら垣間見える。また、読み進めれば読み進める程に、話は芸談へと展開し、お笑いや映画への情熱、弟子や後進への愛すら感じさせる。語り口調で書かれているため、漫談を聞いているような気分でさらっと読めてしまう。
「“間”というものは厄介で、その正体は見えにくいし、コントロールするのも難しい。」と言うが、たけし自身が、まさに「間」を制した人なのだろう。お笑いの世界でも、映画の世界でも、絶妙なタイミングを見極め、心地よい「間」を生み出すことができたからこそ、ビートたけしの成功があり得たのだ。この本からは、彼の成功要因まで感じられる。
ツービート時代の苦労話から芸談、たけし軍団の裏話、さらには彼なりの人生観まで書かれた、充実した内容の1冊。
政治家から芸人や芸能リポーター、日常に潜む「間抜け」まで。ツッコミが痛快!
貴重な芸談も本書で語っている!
ビートたけし流人生論、現代論にまで書かれている! 本当に、本当に。充実の1冊!
(C)ビートたけし/新潮社