『タッチ』の26年後の明青学園…さあ、目指せ！ 甲子園！

「高校の時、友達はみんな将来Googleで働きたいって言ってた。けど、私はそこで検索される人になりたいと思ってたの。」レディガガはそんな名言を残しているが、私も思いは同じだ。皆藤愛子、田中圭、闘莉王…。私の高校の先輩には非常にバラエティ豊かな有名人が多く居る。だから、もし出来るならば、私も彼らのように名を馳せたい。先輩方のように、Googleで検索されるような、人の話題となるような人になりたい。そうやって先輩を目標にと夢を見る人は少なからず居るに違いない。

あだち充作『MIX』は、不朽の名作『タッチ』の26年後の世界を描き出した作品だ。『タッチ』は明青学園に通う双子の兄弟・上杉達也と和也が、幼なじみの南の夢を叶えるために甲子園を目指すストーリーだったが、本作『MIX』はその26年後に明青学園に通い、甲子園を目指す立花兄弟とその妹が主人公となっている。『タッチ』の世界の続きを描いているということならば、作品の展開次第では『タッチ』の登場人物たちも登場するのか？ 44歳の南ちゃん＆たっちゃんを見てみたい…。そんな期待もあったのか、本作は連載が開始された号は品薄状態となり、増刷されるも追いつかなかった話題作だ。

配偶者を亡くした親同士が子連れ再婚したため、誕生日が一緒でも立花兄弟は血が繋がっていない。妹の音美に見守られながら、走一郎・投馬は出会ったその日から互いを良きライバルとし、野球に励んできた。彼らの通う明青学園はかつて上杉達也をエースとするチームが甲子園に出場して以降、長く低迷していた。走一郎、投馬は、26年前のように甲子園に出場することを目指している。だが、OB会長で野球部に多額の寄付をしている父親を持つ二階堂が大した技術もないのにエースとして扱われていた。走一郎、投馬は二階堂からエースの座を奪うことが出来るのか？チームを甲子園に導くことができるのだろうか？

上杉兄弟と重なる、対照的な兄弟のやりとりが何処か懐かしい。そして、この物語に華を添えるのが、何と言っても妹の音美。もちろん男性陣にモテモテ。投馬が妹に変な虫がつかないように奔走する姿も微笑ましい。『タッチ』ファンは必読。「南を甲子園に連れてって」ではなく「音美を甲子園に連れてって」の時代が来ています！！！