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小説・エッセイ

2014/1/11

県庁おもてなし課

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android 発売元 : KADOKAWA
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:有川浩 価格:756円

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滝川クリステルさんの「おもてなし」以来、よく耳につくこの言葉。流行語のような軽めのストーリーを想像しましたが、様々な要素を練り込んだ秀作です。

高知県高知市。大自然はあるけど、「なにもない」土地。その県庁の観光課とは別に存在する「おもてなし」課が、「なにもない」土地にどうやって人を呼ぼうかという、その奮闘の物語がこの1冊です。

フィクションなのに高知県庁には「おもてなし課」が存在するとか、物語の盛り上がって来たころに、東京から作家がやってきて、「おもてなし課」を題材に小説を書き始めようとするとか、リアルとフィクションが混在。この小説を巡る様々な状況は巻末の座談会記事でやっと理解できました。

著者の実話がそのまま小説に生かされて、非常に臨場感溢れる場面の数々で構成されています。ことに面白いのは、官と民の意識の違い。「官」の中での固まった考え方が「民」のパワーで解きほぐれてゆく感覚は壮快そのもの。

若い県庁職員・掛水史貴と、けなげでさらに仕事もできる民間採用の明神多岐との淡い恋物語が進むスピードも、いかにも高知的(笑)。そのゆっくりさ、その戸惑いさ加減にほんわかします。

「民」のパワーを代表するのが、高知県出身で「観光特使」を経て高知の小説を書き始める吉門と、時期尚早な「高知へパンダ誘致論」を展開したあげく、県庁辞職に追い込まれた民宿のおやじ清遠。彼らのアイディアが古く凝り固まった県庁職員の頭をほぐしてゆく会話は説得力100%。高知県ならずとも、観光で県を立てたいところは多いに参考になるはずです。

県庁の青春物語を読んでいるような爽快な読後感。おすすめです。


作家の吉門のアドバイスは的確。明確。県職員はどんどんペースに巻き込まれて

意外なところで家族ドラマも組み込まれ

そうそう、日本の観光地のトイレの偏差値は世界的にも高得点!