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小説・エッセイ

2014/2/21

左目に映る星

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 集英社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:奥田亜希子 価格:1,028円

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 文学賞を受賞した作品というのは読み始めにどきどきするもの。本作品は「第37回すばる文学賞」を受賞した作品です。のっけからSEX描写でなんだかなぁ、という気持ちにさせられたことは確か。最近、多くないですか? ベットから始めて注意を引いておくという手法。

 主人公の神田早季子は、OL26歳、彼氏いない歴2年半。前の彼氏日向には「結局、早季は俺のこと、そんなに好きじゃないんだよ」と言われ、おさらば。実家で母親のやんわりとした拘束にあがらいつつも、そのままの生活。30前にして、哀愁を漂わせる彼女はきっと男性にはそれなりに魅力的であるに違いないであろう存在なのに、彼女には小学校のときに一緒だった吉住君が忘れられず、いつも心の中で語りかけるのは彼ー。

 そんな中、合コンで知り合った男性から自分と同じ癖を持つ友人のことを聞かされ、夢中になってその人物と会おうとするところから、彼女の人生が能動的になってきます。不同視という目を持つ彼女はその矯正もせずに、右目と左目の見え方が違うままの生活をしている。吉住君もその“不自由”があった人。初恋の人不在の今、彼女はこの同癖を持つ宮内君に深くはまってゆきます。アイドルのおっかけをしているという、彼に。

最初の描写とは打って変わってゆっくりとしたペースで展開してゆく2人の関係。合コンで知り合った人とその晩寝てしまえる彼女とは、まったく逆の彼女がそこには存在します。そのギャップが多分、右目と左目の見える世界の違いなのかも? 冒頭部の不信感は読後には全くなし。主人公と同世代の女性には共感も強いのではないでしょうか。アンニュイ感溢れる作品。


不同視のおかげで人と違うことに慣れていた早季子

吉住君は寂しさをわかってくれた

宮内はただのアイドルおたくではありません

この節が一番ドラスティックかと