ネットは巨大な監視システム? スノーデンが暴露した米政府の機密文書の驚きの内容とは

公開日:2014/5/28

暴露―スノーデンが私に託したファイル―

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 新潮社
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:グレン・グリーンウォルド 価格:1,836円

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 人の脳内を覗きたいならば、その人のパソコンを覗けば良い。Googleの検索履歴、SNSへの投稿や他のユーザーとの交流、Skypeなどでの会話…。それを垣間見ることができれば、その人が日常生活で何を考えているかなどすぐに分かってしまう。ネットでの人の行動を知ることができれば、現実世界での行動を縛ることなど容易だ。そんなことをアメリカ国家が考えているとしたらどうだろうか。もしも、ネットが世界中を巻き込んだ巨大な監視ツールとして機能していたとしたら…? これはフィクションではない。実際にアメリカで明らかになった実話である。

 ジャーナリストであるグレン・グリーンウォルド氏著『暴露 スノーデンが私に託したファイル』は、アメリカ国家の驚くべき機密文書が内部告発されるまでの顛末と、その驚くべき内容についてのノンフィクションである。

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 国家安全保障局(NSA)と中央情報局(CIA)というアメリカの二大情報機関に在籍した エドワード・スノーデンは、米政府がNSAを使って秘密裏に、全世界の人々の個人情報をネット上で監視、収集していたことを示す機密文書を暴露した。通信の傍受に関しては、アメリカの様々なIT企業、サービス・プロバイダーが協力を示し、各社のサーバーが個人情報のデータを収集し、提供していたという。ネットは全世界を巻き込んだアメリカ国家の監視システムと化していたのだ。

 スノーデンはこのことを白日の元にさらすために、自身の運命と膨大な機密文書を著者に託すことになる。一連絡手段のセキュリティ強度を上げるように告げる謎のメール。どの媒体で機密文書を公表すべきかという葛藤と古い慣習。香港でスノーデン氏と接触するまでの鼓動の高鳴り。まるで、ミステリー小説を読んでいるかのような気にさせられる。だが、それは全て現実に起きたことなのだ。一連の報道で英紙『ガーディアン』にピューリッツァー賞をもたらしたグレン・グリーンウォルド氏の思いが溢れ出た筆力に誰もが圧倒させられることだろう。この本を読む者がまるで彼らと一緒にこの事実を公表しようとしているような気にさせられる程、惹き込まれるものがある。

 現代の情報社会は日常生活を豊かなものへと変えたが、それは同時に危険性も秘めている。常にどこかで私たちも監視されているのだろうか。プライバシーはないのだろうか。スノーデン事件について既に知っている者も知らない者も、現代を生きる者として、読んでおくべき1冊だ。


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