一見、平凡な人生にも哀切があり、秘密があり、波乱がある。男女の心の襞を描いた珠玉の短編集

小説・エッセイ

2011/1/4

2006年に膵臓癌でこの世を去った吉村昭は、私が敬愛する小説家の一人だ。 虚飾をそぎ落とした文章には、どこにもあざとさがなく、いぶし銀のように美しい。『ふぉん・しぃほるとの娘』、『アメリカ彦蔵』、『破獄』など、丹念に取材を重ね、奇をてらうことなく淡々とした筆致で、まるでノンフィクションのように描かれる歴史小説は、どれ... 続きを読む