「青田買い」の増加で、就活「後ろ倒し」で有利になるのは、たった5%の学生!?

ビジネス・社会・経済

2014/10/7

就活「後ろ倒し」の衝撃 ― 「リクナビ」登場以来、最大の変化が始まった

ハード : Windows/Mac/iPhone/iPad/Android/Reader 発売元 : 東洋経済新報社
ジャンル:ビジネス・社会・経済 購入元:紀伊國屋書店Kinoppy
著者名:曽和利光 価格:1,123円

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 「今後の活躍をお祈りしております」という不採用通知が毎日何通も届き、気が滅入りそうになるが、悩んでいるヒマもない。面接の予定やエントリーシートの締め切りでスケジュールは真っ黒。「祈られ過ぎて、仏になりそうだ…」なんてぼやきながら、就活に取り組んだ頃にはもう戻りたくない。就職難時代の就活は誰にとっても、苦戦を強いられるものだろう。その就活が今、変化しようとしているらしい。しかし、状況は決して良くはならないようだ。

 2013年9月、日本経済団体連合(経団連)は安部政権からの要請を受ける形で、大学新卒者の就職活動の解禁時期を繰り下げることを発表した。これまでは企業が12月に採用広報を開始するとともに、翌々年に卒業を控えた大学3年生がリクナビなどの就活支援サイトに登録を始め、翌年の4月から採用選考が始まっていた。しかし、今回の決定により、2016年入社(2014年度大学3年生)から、企業の採用広報が3月から、採用選考が8月からに後ろ倒しされる。

 『就活「後ろ倒し」の衝撃―「リクナビ」登場以来、最大の変化が始まった』では、1995年にリクルートに入社して以来、約20年間に渡って新卒採用に関わってきた曽和利光氏が「就活後ろ倒し」によって、就職活動がどのように変化するのか予測している。就職活動の歴史を紐解きながら、曽和氏は「就活後ろ倒し」はバブル期のような、学生の「青田買い」を助長すると分析している。今回の「就活後ろ倒し」は全学生の5%程しかいない意識の高い高学歴学生にとっては有利に働くが、他の学生にとってはかなり不利に働くようだ。

 就職活動の時期が変わるだけでどうしてそのような変化が訪れるのか。それは、就活後ろ倒しによって、実質的な就職活動の期間がこれまでの6カ月(4~9月)から、たったの2カ月(8~9月)に大幅に短縮されるためである。採用活動は、エントリーシートや筆記試験、面接などの採用選考を開始してから最低でも3~4カ月は掛かる。2カ月では短すぎ、採用計画を満たすだけの十分な学生が確保できない可能性が高い。

 一方で、後ろ倒しは、ベンチャー企業や外資系企業など経団連に所属していない企業に対しては何の拘束力もないため、それらの企業が優秀な学生を早期に確保してしまう可能性も大きい。よって、ルールに遵守しているよう振る舞いながらも、実際には学生との接触を水面下で進める動きが活発になると見込まれるのだ。フォーマルな就職活動は短期化しているように見えても、学生が就職活動に費やさなければならない時間は、今よりも長期化すると曽和氏は主張する。

 「公式な採用選考が始まる前から採用目標を埋めておきたい」。企業はこのような自社のニーズを満たすため、現役の社員が自らの出身校の学生と面談し、インフォーマルに採用活動を行なう「リクルーター制度」や学生に職場体験をさせる「インターンシップ」を積極的に活用するだろう。実際ある大手メーカーでは、去年まで100人だったリクルーターを500人に増員し、就活後ろ倒しに備えているという。大企業の先輩が多くいる高学歴かつ就活に積極的な学生はリクルーターやインターンなどでチャンスを掴みやすい。しかし、一般的な学生にとっては意識を高く持たねばリクルーターにも巡り合えず、就活が始まった時には枠が既に埋まりきっていてそのまま就職先がないから留年…もしくはブラック企業といわれる不人気大量採用会社にすがることになりかねないのだ。

 「就活後ろ倒し」は企業の採用活動の方針に抜本的な変更を迫ることとなり、学生もその変化を読み取り、変わらざるをえない。ライバルたちに大きく差をつけられないよう、より一層早期からの行動が鍵となりそうだ。これ以上、就活が辛いものにならないことを祈るばかりである。

 


ほとんどの学生にとって不利に働く今回の「後ろ倒し」

企業側としては、インフォーマルな採用を強化せざるを得ない

拘束旅行もさかんに!?

表での解説も分かりやすい