確かに、鉄道の旅はそこへ旅した人に聞くのが一番

更新日:2011/9/12

ヨーロッパ鉄道旅行の魅力

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 平凡社
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:野田隆 価格:540円

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2003年、日本旅行作家協会評議員である野田隆が執筆した鉄道旅行の本である。旅行に行く前のお話、鉄道旅行準備編。そしてドイツ編、西欧編、北欧編、スイス・イタリア編、中欧編と地域別に構成されている。
  

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ヨーロッパの鉄道旅行では、路線や時間を調べるには、トーマスクック鉄道時刻表が便利であること。当日、駅で切符を買うことは、窓口業務が頻繁に滞りがちなため、困難であり、前日に購入しておくか、渡航前に日本で買っておくこと。ユーレイルパスと呼ばれる、ほとんど全てのヨーロッパの鉄道や航路を利用できるパスを購入しておくと便利など、鉄道旅行準備編では、様々なことを知ることができた。
  
地域編では、日本では満喫できない列車の旅が記されている。超特急ICE(Intercity-Express)の旅。ライン河沿岸を走り、花火も見物できる蒸気機関車牽引列車の旅。アルプス登山鉄道など、ヨーロッパ大陸を東西、南北に結ぶ、超特急の旅、伝統的な長距離国際列車の旅を、始発駅から終着駅まで、著者が車窓風景、サービスなど詳細に記している。
  
そして著者はヨーロッパの鉄道王国は、鉄道発祥の地イギリスでもなく、数多くの高速列車が走り回るフランスでもなく、ドイツだという。鉄道王国たる所以は、特急列車などの多さ、わかりやすい乗り換えなど、国内の鉄道網の充実。ヨーロッパ全土において、国際列車にドイツ製列車が多く採用されていることである。そして、もうひとつの理由として、ドイツの地理的情況が関係しているという。ドイツはヨーロッパのほぼ中央にあり、国境を隣接する、周辺のあらゆる国に向けて、国際列車を運行しているからだという。地理学的にも興味深い話だった。
  
この本は、ヨーロッパを鉄道旅行してみたい人への初歩的なお話から、鉄道ファンを満足させる話まで幅広い。2003年時の情報であることは、承知済みではあったが、ヨーロッパ旅行と鉄道の二つのキーワード。どちらかに引っ掛かる人は当然面白いだろうし、二つ引っ掛かる人には、面白さが倍増すること間違いなしの本である。

ヨーロッパの蒸気機関車。荘厳な勇姿。鉄道ファン垂涎の的

ヨーロッパの様々ななターミナル駅

アラカルトなヨーロッパの列車たち

鉄道旅行での楽しみのひとつは食事 (C)野田隆/平凡社