あの作品がもう一度読みたくなる! 村上春樹小説の謎とき!

小説・エッセイ

更新日:2021/6/23

謎とき 村上春樹

ハード : PC 発売元 : 光文社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:石原千秋 価格:735円

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皆さんはしっかりしているタイプですか? それともうっかりしちゃうタイプですか?

生田はとってもうっかり者です。
オートロックで中に鍵を入れたままドアを閉めちゃったり、財布を置き忘れてきたり、待ち合わせ場所を勘違いしたり…とあげればきりがないほどのうっかりをしょっちゅうやります。あと、何もないところでつまずいて転んだりね。

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この本との出会いもそんなうっかりがきっかけだったりします。村上春樹さんの本が読みたいなぁと思った生田は、”村上春樹”で検索をかけたんですね。で、この本を「このタイトル見たことないわぁ…」と村上春樹さんが書いた『謎とき』という小説だと思って購入してみたわけです。

ところがどっこい冷静になって見返してみると、なんとこの本は村上春樹さんの小説の謎を解く本。自分のうっかりさにがっかりしながら、これも何かの縁!…と読み始めました。そんなうっかりから読み始めた本でしたが、読み進めると目から鱗の連続でした。

まず、最初のほうに書かれている、「小説を読むのはどこか謎とき的な要素がある、ストーリーを追って面白いと思うだけでもいいが、少しでも自分なりに読もうとすれば疑問が生まれる。」という内容に深く納得させられ、どういった謎ときがこの後にされているのかと一気に興味が増しました。

この本、村上春樹さんの小説のタイトルを5つあげて、その作品ごとに謎解き・解説をしているわけですが、知ってる作品は「ええっそうだったの!? また読み返したい!」と思わせてくれるし、読んだことのない作品は「この作品も読んでみたいなぁ」という気持ちにさせてくれます。

例えば映画化にもなったノルウェイの森では、この作品が夏目漱石の『こころ』の本歌取りではないかということや、セックスや自殺を軽く扱いすぎているという批判に対し、それこそがこの作品のテーマなのであるということなど、注目すべき部位を細かくあげ詳しく解説されています。100パーセントの恋愛小説というキャッチコピーに隠された意志、何気ない台詞に隠された意味や主人公の役目など、ただストーリーを追って読んでいる時には気づかなかった村上作品の世界により深く浸れると思います。

役者は台本をしっかり読み込んで、そこから台詞としては書かれていないモノ、その人物のバックグラウンドだったりその行動を起こす根拠だったりを読み取らなければならない仕事なのに、村上さんの小説から何も読み取れてなかったなぁと悔しい気持ちもちょっぴり芽生えたり…。この「謎とき 村上春樹」であげられてないタイトルを読んで、私も自分なりに謎を解きたいなぁとも思わせられる作品でした。

村上春樹さんの作品を読んだことのない人も、大ファンだという人も楽しめる作品だと思います。
いつもはあまりいいことのないうっかりだけど、こういううっかりならたまにはありだなぁ…なんて思いながら、この原稿にうっかりミスがないことを祈る生田でした(笑)


なるほどなと思わせられた一文

こういう考え方はした事がなかったので、目から鱗でした

引用もページ数付きなので作品と照らし合わせながら読みやすくなっています