超高齢化社会で、アートにも「老人の時代」が到来! ジイさんたちの尽きないパワーを思い知る

シルバーアート ―老人芸術

ハード : 発売元 : 朝日出版社
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 何だろう、このすさまじいエネルギーは! 最近ニュースでよく見かける、「暗い老後生活」だの「老人の孤独死」などとはまるっきり無縁。「ジイさん」たちの生きることに対する猛烈なパワーに度肝を抜かれた。

 広島県鞆の浦にある「鞆の津ミュージアム」で2014年に開催され、話題を呼んだ展覧会「花咲くジイさん ~我が道を行く超経験者たち~」。この展覧会では蛭子能収やドクター中松といったテレビでおなじみの「ジイさん」の作品から、世間的には全く無名の「ジイさん」のものまで、総勢12人の超経験者(つまり65歳以上の高齢者だ)の「芸術活動」が展示された。この12人の芸術活動の現場を実際に取材し、彼らにとっての「表現」を彼ら自身の言葉で語ってもらったのが本書『シルバーアート 老人芸術』だ。

 各ページの4分の3ほどを占める写真は、作品はもちろん、その作品を作り出した「ジイさん」たちの姿をリアルに立ち昇らせる。まるでその場に漂う匂いまでも感じられる気がするほどだ。そして「ジイさん」たちの個性あふれる語り口調。90を超えて急に絵を描き出した軸原一男氏の、あふれ続けて止まる事を知らない旺盛な制作意欲。裸の前衛芸術家・糸井貫二氏(通称ダダカン)の作品とは似つかない丁寧で柔らかな、そしてとても常識的な言葉。表計算ソフトのエクセルだけで信じられないほど美しい絵を生み出す堀内辰夫氏のまるで子供のような、飽くなき探求心…。

 どの「ジイさん」にも通じるのは「自分が楽しいからやっている」というひとことだ。だから作ったものには執着がない。作ること、その過程が大切で、作り上げたものは欲しいという人にどんどんあげてしまったりする。後ろを振り返らず、前進あるのみ。生、そして性に対して貪欲だが、「死」が身近だからだろうか、終わりが来ること、何事もいつか終わることをきちんと意識していて、何事にも「執着」がない。エネルギッシュだけれど達観している。このバランス感、突き抜けた感じが、本当にかっこいいのだ。「老いる」ことを単純に嫌だと思っていたけれど、こんな境地が待っているのならそう悪くないのかも。


空き箱にポップな色づかいが冴える! 部屋の中はまるで色の祭壇だ。(長恵氏)

のどかな田園に突如出現する異次元ワールド。とどまることを知らない想像力の産物だ。(沼博志氏)

お手製からくり人形と繰り広げられる一人芝居…。なんともシュールな空間だ。(城田貞夫氏)

閉じた工場をそのまま自分のギャラリーに。独特のオーラに思わず振り向いてしまうから、名前は「ふりむきやかた」(小川卓一氏)

壁に貼られた檄文のかっこいいこと! どの言葉にも含蓄があって思わず見惚れてしまう…。(堀尾貞治氏)



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