海外もいいけれど…日本の鉄道もやはり魅力的

公開日:2011/12/4

にっぽん鉄道旅行の魅力

ハード : PC/iPhone/iPad/WindowsPhone/Android 発売元 : 平凡社
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:eBookJapan
著者名:野田隆 価格:540円

※最新の価格はストアでご確認ください。

日本旅行作家協会評議員であり、「ヨーロッパ鉄道旅行の魅力」などを執筆した野田隆の著作。
著者が日本国内の路線を旅した記録を綴った鉄道旅行記である。春の旅など、四季の旅ごとに章分けされている。

advertisement

春の旅では著者のジョイフルトレイン「きらきらうえつ」で行く新潟・酒田間の旅、「ビューさざなみ」「ビューわかしお」による房総一周の旅などが描かれている。イベント列車「きらきらうえつ」のテーブル席から眺める風景、房総では印象的な館山駅のエピソードなどちょっと足を伸ばせば、体験できる気軽な鉄道旅行の楽しさが満載である。

他の季節では、東京上野から札幌直通の寝台特急「カシオペア」、「北斗星」の旅、秋の富山高岡発、城端線、氷見線のマイナーローカル線乗り比べの旅などなど読み応え充分。

特に面白かったのがJR関西本線の旅。近鉄特急、東海道本線など名古屋から大阪へ向かうルートのうち、著者が取り上げたのがJR関西本線。JR関西本線は名古屋駅から亀山駅、奈良駅を経てJR難波駅に至る路線である。

名古屋、大阪間は最短距離だが、急峻な山越えのため、利用者が少ないのが現状である。この路線は名古屋・亀山間は単線・電化、亀山・奈良間は単線・非電化、奈良・大阪市内までは複線・電化という三種類の線路で構成されている珍しい路線なのである。非電化の部分は機能上、電気が通っていない。ゆえに一日一往復の急行「かすが」はディーゼル急行なのである。その「かすが」に乗っての旅はこの時代、貴重だと思えてならなかった。

章の間に入っている東西対決と題したコラムも秀逸。千葉県のリゾート特急「すいごう」「あやめ」と和歌山県「くろしお」「オーシャンアロー」の東西リゾート特急対決。北海道の「ホワイトアロー」と鹿児島県「リレーつばめ」の電車特急対決。静岡県の「大井川鉄道」と熊本県JR肥後線で運転される「SLあそBOY号」の復活SL運転の最古参対決など車輌好きが喜ぶこと間違いなしである。コラムで面白かったのが、富山県北陸新幹線と長崎県九州新幹線の東西新幹線未整備区域対決。これはともに未着手部分があるため、私は引き分けだと思えた。

本書のおかけで日本の鉄道はまだまだ奥が深いと感じてしまうのだった。

日本の心に残る特別列車の写真。歴史的価値は高いはずである

特別車輌その2

お土産の数々。旅の思い出のコレクション

個性的な駅の数々

駅弁包装紙もマニアの間ではコレクショングッズ

包装紙も時代ごとに更新されるのでマニアは常にコレクションしなければならない

本書で旅した路線図。日本全国に渡る

春の旅、「きらきらうえつ」で行った新潟酒田間の路線図 (C)野田隆/平凡社