グルメに温泉、工場見学…アミューズメントパーク化が進む空港ビジネス、5つのポイントとは?

暮らし

2017/7/12


 いま、空港が面白い。土産物店の充実はもちろんのこと、美術館、映画館など、あらゆるエンターテインメントが集まる場に変化してきた。訪日旅行者の増加、LCCの登場、空港の民営化などによる航空業界の成長を追い風に、空港は多くの利用客を呼び込む策を講じているのだ。

『最高の空港の歩き方』(齊藤成人/ポプラ社)

『最高の空港の歩き方』(齊藤成人/ポプラ社)はそんな変化しつつある空港の楽しみ方を徹底解説した一冊。知られざる空港の魅力を早速覗いてみよう!

■うどん出汁の蛇口やポンジュースの蛇口…空港で楽しめるご当地のグルメ

 今や空港は、ご当地アピールのステージだ。たとえば新千歳空港には北海道内の有名ラーメン店が集う「ラーメン道場」やジンギスカンの専門店があるだけでなく、ロイズチョコレートの製造工程の見学ができるチョコレート工場がある。高松空港では、捻るとうどんの出汁が出てくる蛇口(一日10リットル限定)、松山空港ではポンジュースが出てくる蛇口を設置している(毎月第3日曜日の10~14時限定)。

■お風呂にパターゴルフ場に…グルメにとどまらない空港の魅力

 空港の魅力は、グルメだけにとどまらない。中部国際空港では飛行機を眺めながらお風呂につかれるし、鹿児島空港、北九州空港、大分空港などでは、足湯が楽しめる。ゴルフ場が多い宮崎空港に至ってはパターゴルフ場を設置。意外なところだと福島空港では円谷プロの円谷英二氏の出身地であることにあやかって、ウルトラマンや怪獣のフィギュア、ジオラマが展示され、ウルトラマンファンの聖地となっている。

■羽田空港で富士山をバックに飛行機の写真が撮れる

 空港は景色だって面白い。インスタグラムなどの写真系SNSが流行する昨今、飛行機を撮影できる絶好のスポットはどこだろう。空港ターミナルの屋上に行くのが一番だが、中でも本書の著者・齊藤成人氏のオススメは羽田空港第1ターミナルの屋上。ここからはなんと富士山をバックに離陸していく飛行機を撮影することができるのだ。同じ羽田でも他のターミナルは海側を向いているため、これは第1ターミナルだけの特権。訪れた際にはぜひ写真を撮ってみよう。

■空港では、“上を向いて歩こう”

 空港ターミナルは建築物としての芸術性が高い。普通の住宅の工事単価は一坪50万円だというのに、空港ターミナルは一坪あたり130~150万円で、とてつもなく高額。飛行機が上空を飛ぶがゆえの高さ制限もあり、天井と照明でどう空間を彩るのかが建築家の腕の見せ所だ。特に国際空港は国の玄関口で、第一印象が決まる“顔”になるので、どの国も有名な建築家に依頼して、お金に糸目をつけない豪華なターミナルになることが多いのだ。

 7ブロックで構成された多様なデザインのシャルル・ド・ゴール空港の第2ターミナルの天井や、銀色の反射板が大量に取り付けられ、宇宙船の中にいるような気分を味わえるシンガポールのチャンギ空港第3ターミナルの天井、日本の合掌造りのように急な傾斜のガラスが印象的な桃園空港第1ターミナルの天井…。天井に特徴のある空港は国内外問わずたくさんあるから、ぜひ注目してみてほしい。

■空港を進化させる最先端の技術

 世界の空港のサービスは日々進化している。たとえば、ドイツのデュッセルドルフ空港では駐車場ロボットが、車の持ち主のフライト情報を元に、効率的な車の並び方を考えて駐車スペースに配置してくれるし、オーストラリアの主要空港では、海外渡航の出入国審査で、入国審査官のチェックを受けなくて済む「スマートゲート」と呼ばれる顔認証による手続きを導入している。だが、自動化・省エネ化が進む一方でやはり手作業や職人技に頼らないとできない仕事もある。たとえば、小さな鳥がエンジンに入り飛行機が飛べなくなってしまう「バードストライク」を防ぐため、ドイツのデュッセルドルフ空港では、鷹匠が活躍しているし、日本の空港の清掃の技術も機械化できない部分が大きい。最先端の技術と職人技。両者によって、空港は支えられているのだ。

 本書はトリビアや観光情報にとどまらず、素晴らしい空港での時間を支える最先端技術や仕事、プロだけが知っている空港の舞台裏が紹介されており、知的興味も刺激される。アミューズメント化が進む空港の知られざる魅力の数々は、飛行機に乗らなくても楽しめるものばかり。本書とともに、いろんな土地のいろんな空港をぜひとも散策してみてほしい。空港にはまだまだ新しい発見があるにちがいない。

文=アサトーミナミ