「いい人がいたら結婚する」じゃ、一生結婚できない!? 科学的知見から導き出された人生指南があまりにも的確

ライフスタイル

2017/9/21

『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(石川善樹+吉田尚記/KADOKAWA)

人生はたった一度きり。できれば幸せに生きて、満足して死にたいものである。とはいえ、誰もがぶっつけ本番で突入する人生は、いつも予期せぬことばかり。不幸をうまく回避してやっていける確証は、どこにもない。

だがしかし、「幸せは自分のこころが決める」(相田みつを)ものである。
自分自身の心もち次第でどうにかなるのかもしれない。
では、これを知っていれば幸せに生きていける、少なくとも不幸にはならないというテクニカルな「コツ」はないのだろうか。

そんな問いに正面から挑戦しているのが『どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた』(KADOKAWA)だ。ニッポン放送の大人気アナウンサー・吉田尚記さんと、『友だちの数で寿命は決まる』『仕事はうかつに始めるな』などセンセーショナルな著書で話題の科学者・石川善樹さんによる、「人生を幸せにするコツ」をめぐる対談本である。

こんな直球のタイトルにもかかわらず、冒頭で吉田さんはこう言い放つ。

よくある「人生を幸せにするコツ」って、嘘臭いなぁって感じるんです。誰が言っても、どこかブレがあるじゃないですか。

え…っ! 幸せになりたいと鼻息荒くページをめくった自分が恥ずかしいじゃないですか。しかし、吉田さんはこう続ける。

でも、そういうコツが存在しないわけではないとも思います。僕ら一人ひとりが幸せになる方法はきっとある。だからもっと厳密に、誰でも取り扱える方法を見つけたいなって。で、それをいちばん知ってそうなのが石川さんのような「科学者」だという気がしているんです

そう、対談相手の石川善樹さんは科学者だ。テーマが人生であろうと、根拠のない精神論など言わない。さまざまな研究結果から導き出された知見を、客観的な証拠をもって伝えるのが基本姿勢。その石川さんと、先に引いたような批評精神をもった吉田さんが語りあうのだから、本書で提示される「幸せに生きるコツ」は冴え冴えとした信憑性がある。

そもそも、科学的に見て「幸せ」とはどういう状態なのか?
石川さんはこのように定義する。

僕は「予防医学」──人がよりよく生きるためにどうすればいいのかを考える学問──を研究しているんですが、その究極のゴールは「朝ワクワクして目が覚めて、夜満ち足りた気持ちで眠れるか」なんです

なんと明快。確かに、金と地位と名誉を手に入れても、どんよりと起きて、不安でいっぱいになりながら眠る毎日は幸せじゃない。というか不幸である。
今日が始まることにわくわくして目を覚まし、楽しかった〜と床につく。そんな人生を送る確実な方法が手に入るなら、金も地位も名誉もくれてやると思うではないか(ないけど)。

本書が扱うテーマは「感情の取り扱い方」「恋愛・結婚を科学的に考えてみるとどうなるか」「生き残るためにはどんなことを学べばいいのか」など多岐にわたるが、いずれも観念論で終わらせず、何をどうすればよいか、シンプルで具体的提案がなされていく。
たとえば結婚について語られたこの一文。

いろいろ研究を見た結果、「結婚は決断が先にある」と思ったんです。つまり、「いい人がいたら結婚しよう」と言ううちは、一生結婚できない。結婚するという意思決定が先にあって、意思決定をした人だけが結婚できてそうだな、と。
(中略)「いい人いたら紹介してよ」って言っている人がいますけど、それじゃあ無理なんだな、って思ったんですよ。紹介以前に覚悟が足りん、まず意思決定をしろ、と(笑)

この意識があるだけでもう結婚できる気がするのは筆者だけだろうか。すべての婚活サイトのトップページに貼っておきたい言葉である。

もちろん、人生は悲しくてたまらないことっも、どうしたって起こる。
だからこそ、たった一度きりの不可逆な日々をなるべくゴキゲンに過ごす知恵がほしい。口当たりのいい精神論じゃなく、確実に頼れるテクニックがほしい。
そう思うなら、本書で科学の知見を借りようじゃないか。
読み終えたときにはきっと、先が見えない人生が、楽しみでしかたなくなっているはずだから。