野菜は丸ごとで旨み最大限! “いかにシンプルに調理するか” ウー・ウェンさん提唱「8つのルール」【作ってみた】

食・料理

公開日:2017/9/27

『ウー・ウェンの家庭料理8つの基本』(ウー・ウェン/文藝春秋)

 毎日の夕飯づくり、本当に大変ですよね。でも作るからにはしっかりレシピに沿って美味しく作りたい。そんな頑張り屋さんにぜひ知ってもらいたい8つのルールがあります。『ウー・ウェンの家庭料理8つの基本』(ウー・ウェン/文藝春秋)では、“いかにシンプルに調理するか”をベースに考え出した8つの料理の基本とそれに基づいたレシピが紹介されています。この基本をおさえれば、さらに料理が美味しく、楽しくなること間違いなし。そこで本書より3品を実際に作ってみました。

1.野菜は「丸ごと」調理すべし 『玉ねぎの丸ごと煮』(P.11)

 玉ねぎの皮をむき、これと水、酒を鍋に入れて火にかけ、煮立ったら蓋をして弱火で30分ほど煮ます。玉ねぎが柔らかくなったら、粗塩、こしょう、オリーブ油で調味し、火を止めて30分ほど放置すれば完成です。食べる際には粒マスタードを添えて。1品目は、野菜は「丸ごと」調理するというルールで作ったレシピです。これは野菜の旨みを最大限に引き出せる調理法で、野菜自らの味を逃さずに美味しくなるそう。そしてもう1つ大切なのが、たっぷりと放置時間を取ること。じっくりことこと煮込むよりも、余熱でじんわり調理することで美味しさがさらに育まれます。実際に玉ねぎ丸ごとを鍋に入れて煮ただけなんですが、出来上がった玉ねぎはトロットロで、こんなに甘かったっけ!? と驚いてしまうほど。旨みが溶けだしたスープと一緒に丸ごと1個ぺろっと食べられるほど、玉ねぎ本来の美味しさを堪能できました。

2.手抜きをしたいときは煮物を 『牛肉と玉ねぎのシンプルカレー』(P.30)

 お湯を沸かした鍋に牛肉を入れてアクを出し、ざるにあげます。鍋にこの牛肉と薄切りにした玉ねぎ、酒、水を入れて火にかけ、煮立ったら蓋をしてさらに1時間ほど煮ます。最後にカレールウを加えてひと煮立ちさせれば完成です。

advertisement

 2品目は、煮物を代表したカレーレシピです。料理初心者にとっては「煮物=難しい」というイメージがあり、煮物が美味しく作れるようになったら一人前と思っていたのですが、実は煮物ほど簡単な料理はないらしく、お昼寝しながらでも作れるものだそう。

 ポイントは、放っておくことで時間が美味しくしてくれるのを待つこと。実際ここでも、鍋に材料を入れたらあとはひたすら煮込むだけ。何も特別な調理や味付けをしたわけではないのですが、食べてみると食材からの旨みがしっかりと溶けだし、かなり味わい深いカレーで、お店に負けないくらいの美味しさ。これが作れた自分の腕に少しだけ自信がつきました。

3.野菜の繊維を知る 『にんじんの乱切りで炒め煮』(P.34)

 炒め鍋に、太白ごま油、こしょうを入れて火にかけたところに、乱切りにしたにんじんを入れて油がなじむように炒めます。ここに水を加えて蓋をし、10分ほど蒸し煮にします。最後に粗塩で味を調えれば完成です。

 3品目は、調理方法に合わせて野菜の切り方にこだわったレシピです。野菜は切り方次第で水分量を調節したり、食感や味わいを変えたりすることができます。だから、どのように調理するか、仕上げたいかを想像しておくことで切り方も自然と決まってきます。これを気にせずに切ってしまうと、せっかくの野菜の美味しさも半減してしまうので、調理する前にきちんと切り方を考えておくことが大切です。ここではにんじんを炒め煮したのですが、炒め煮の場合は食材に味をしっかりしみ込ませたいので、断面が多くなる乱切りで調理しました。

 その結果、ひと切れひと切れににんじんの甘さがぎゅっと凝縮され、まるでスイーツを食べているような感覚に。いつもはにんじんを嫌がって食べない5歳の息子も喜んで食べていました。

 この他にも、時間があるときこそ丁寧に炒めものを、油と食材はお互いを引き立てる夫婦関係のようなもの、塩を使うタイミングは最初と最後の2通りだけ、食材の味を引き出すためにもっと蒸すこと、食材はたくさん使えばいいわけではなく2~3種類だけでOKといったルールが紹介されています。これらを上手く組み合わせることでさらにレシピのバリエーションが広がるはず。

実は料理ってもっとシンプルで良かったんだ

 料理は、味付けはどうしよう、火加減は大丈夫? など、出来上がりを失敗したくないがゆえにあれやこれやと心配しながら作ってしまうことがあります。でも実は、料理の基本ルールを守れば肩肘張ることなく、もっとシンプルに美味しい料理が作れるんですね。これならいつもの苦痛でしかなかった料理も楽しい時間に変わるはず! 時間をかけて小難しい料理に挑戦する前に、まずは料理の基本に立ち返って、料理を楽しむことを目指しませんか?

文=JUNKO