モデル・菊池亜希子さんの喫茶店ガイド『好きよ、喫茶店』でコーヒをー1杯♪

暮らし

2017/9/30

『好きよ、喫茶店』(菊池亜希子/マガジンハウス)

 外回りの営業の合間、会社帰りの友人とのおしゃべり、休日の午後のひととき…喫茶店の利用の仕方は十人十色だろう。しかし、誰にとっても「ホッとする場所」であることに違いはない。そんな私たちの身近な存在である喫茶店は、時代と共に変化を遂げてきた。

■コーヒー、はじめて物語

 日本で初めて本格的なコーヒーを提供した喫茶店といわれる、上野の「可否茶館」は明治21年開店。その後1950年代には、歌声喫茶、名曲喫茶、ジャズ喫茶などが流行した。1970年代にはいるとインベーダーゲームが大ブームになり、それに目を付けた喫茶店はテーブルのかわりにゲーム台を置いた。その後1980年代にはドトールのようなセルフ式のコーヒーチェーンが開店し、1990年代にはスターバックス、タリーズなどのシアトル系コーヒーが日本に上陸。その後も進化は続き、2015年にはブルーボトルコーヒーを筆頭とするサードウェーブ系コーヒー店が複数開店した。

■「喫茶店」=「カフェ」ではない!

 「喫茶店」ではなく「カフェ」と呼ぶのが主流になったのはいつごろからだろうか。進化する一方で喫茶そのものとは別の“メイン”を設定した個性的なお店も存在する。古民家をリノベーションしたカフェ、メイド喫茶、猫カフェ、漫画喫茶などだ。カフェでラテを飲みながらパソコンのキーボードをたたくのがカッコイイ都会人…そんな風潮の中、古き良き「喫茶店」の趣を守り続ける店もたくさんある。時代が移っても「カフェ」とは一線を画す「喫茶店」として時を刻み続けているのだ。

 『好きよ、喫茶店』(菊池亜希子/マガジンハウス)は、モデルで女優の菊池亜希子さんが雑誌『& Premium』で連載している大人気エッセイを書籍化したものだ。撮りおろし写真、書き下ろしコラムを加え、より奥行きのある深い内容となった。菊池さんは幼いころから生活の中にいつも当たり前に喫茶店が存在していたという。

「ああ、好きだなあ」としみじみ湧き上がる愛おしい気持ちを、ひとつずつ丁寧に拾い集めてみようと思った。
喫茶店でぼんやりしながら、あちこちに転がる愛おしさのカケラを、ニンマリしながらこっそり拾う作業は幸せ以外の何ものでもない。

 ある時は深い森のようであり、ある時は訪れたことのないパリのイメージを重ねてみたり、またある時は、入り口に掲げられたメニューを、伝説の歌番組『ザ・ベストテン』でパタパタと回っていたフリップにたとえてみたり…そんな菊池さんならではの目線がクスリと笑いを誘う。レトロな雰囲気そのままの飴色の写真はどれも、味わい深いコーヒーの香りを運んできてくれそうだ。さらに気分を上げてくれるのは、菊池さんの手描きのイラスト。店内の様子や、マスターとのやりとりがお店ごとに見開きページに描かれている。喫茶店に対するあふれんばかりの熱量の集大成だ。

 1杯のコーヒーで落ち着ける自分だけのとっておきのお店、あなたも見つけてみませんか?

文=銀 璃子