突如昏睡状態になった婚約者。周囲からは「待たなくていい」と言われ…奇跡の実話『8年越しの花嫁』は号泣必至! 佐藤健×土屋太鳳W主演映画にも期待!

エンタメ

2017/10/7

『8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら』(主婦の友社)

 結婚式の3カ月前に花嫁が突如原因不明の病に倒れ、昏睡状態から6年をかけて徐々に自分を取り戻し、ついに8年越しで念願の結婚式をあげた…そんな奇跡の物語が実際にあったのをご存じだろうか。岡山に住むごく普通のカップルだった中原尚志さんと麻衣さんに訪れた突然の悲劇と幸福は、2015年にテレビで紹介されたのをきっかけに日本中を感動させた。現在、YouTubeで公開されている2人の結婚式の動画は134万回以上再生されている。

 そんな2人の物語が、人気俳優・佐藤健さんと土屋太鳳さんのW主演で映画化され、12月16日より『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(配給:松竹)として全国公開される。監督は『ヘヴンズ ストーリー』でベルリン国際映画祭批評家連盟賞を受賞した瀬々敬久氏、脚本はNHKの朝ドラ『ひよっこ』の岡田惠和氏が手がけ、主題歌は人気のback numberの「瞬き」。布陣的にもかなり注目度の高い作品だが、当然ながらストーリーは尚志さんと麻衣さんにおこった実話がベース。いち早く公開された予告映像だけでも「これは泣ける」と話題だ。

 公開を前に、あらためて映画の原作となった『8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら』(主婦の友社)を紹介しよう。著者は尚志さんと麻衣さん。麻衣さんが突然の病に倒れ、8年後に無事に結婚式をあげるまでの道のりを綴ったノンフィクションだ。

 結婚式を迎える3カ月前の2007年1月、原因不明の病に倒れて一度は心肺停止に見舞われ、なんとか命は取り留めたものの長い昏睡状態に陥ってしまった麻衣さん。原因は「抗NMDA受容体脳炎」(卵巣などに腫瘍ができたことで体内に抗体が作られ、その抗体が誤って脳を攻撃し異常が起きる病気。発症率は百万人に0.33人程度)だと判明。倒れてから1年半後に手術を受けるが、なお昏睡状態は続き、手術から1年が過ぎた頃にやっと意識が戻った。とはいえ知能も身体能力も生まれたての赤ちゃんのようになってしまった麻衣さんは、そこから必死のリハビリで6年かけて車椅子で生活できる状況にまで回復。2014年、プロポーズから8年越しでふたりは念願の結婚式を挙げ、さらに新しい命も授かったという。

 本ではそうした麻衣さんの一進一退の状況を、尚志さんや麻衣さんのお母さんの日記をまじえながら克明に追う。やり場のない哀しみ、そして小さな希望を繰り返しながら、それでも麻衣さんの回復を信じた「家族の絆」が心にしみる。 

 それにしても、婚約者とはいえ尚志さんは、なぜそこまで待てたのだろう。実際、麻衣さんのお母さんや周囲に「待たなくていい」と言われたこともあったというが、「8年間で一度も<待つか、やめるか>と悩んだことはなかった。苦しんでいる麻衣のもとを離れて、僕だけが普通の生活に戻っていくことなんて考えられなかった。迷うことなど、なかっただけ」という尚志さん。飾らないまっすぐな言葉に、思わずはっとさせられる。「誰かを思う心」とは、こんなに強いものなのだ。

 果たして、自分がこうなったらどうするだろう…思わずそんなことを考えずにはいられない。そして「普通に生きている」ことが、いかにかけがえのないことなのかあらためて思い知る。倒れる前、闘病中、弾けるような笑顔の結婚式…添えられた数々の写真と等身大の言葉で、2人の姿をそのまま受け取ったとき、きっとより深く、何かを感じることだろう。

 

文=荒井理恵

  


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