教養はすべて児童書が教えてくれる! たとえばエリック・カール著、もりひさし訳『はらぺこあおむし』だったら…?

文芸・カルチャー

2017/10/11

『教養は児童書で学べ』(出口治明/光文社)

 本は世界を広げてくれる。外国のこと、異性のこと、過去や未来のこと、ありとあらゆるテーマの本が出版されていて、手にとって読むことができる。手に収まるサイズの本の中に宇宙よりもはるかに大きな知恵と知識がつまっている。とても魅力的だ。

 本からいろいろな考え方を知ることもできる。自分とは考え方が合わなくても「こう考える人が世の中にはいるのだ」と自分の中の多様性を広げることもできるし、自分の考え方と同じ人が書いた本を読むと「私が言いたかったことを代弁してくれている!」と思いが言葉で表現されていることに感動できる。

 しかし、いろいろな考え方をする人がいるから、もちろん本を読むことが苦手な人もいる。『教養は児童書で学べ』(出口治明/光文社)では、「人間が賢くなるには、人、本、旅。3つの中で一番効率が良いのが本。アメリカの大統領に会いたいと思っても会えませんが、『リンカーン演説集』(岩波文庫)の本を読めば、会うことができる。しかし、本は、読みたくなければ読まなくてもまったくかまわない」と書かれている。

 人は誰でも向き不向きがあるので、本を読むことより、旅に出て自ら見聞を広めることが得意な人もいるし、会いたい人にどんどん会いに行って、直接話を聞くことが得意な人もいる。読みたくなれば自ら読むので、押し付けなくてもよいそうだ。

 本書では、10冊の児童書をピックアップして、その児童書から得ることができる教養を伝えている。教養というと堅苦しいが、「宇宙が全部詰まっている」「アラブ人ってすごい」「どんな人生にも雨の日がある」など、得られる教養は興味をそそられる内容ばかり。

 例えば、『はらぺこあおむし』(エリック・カール:著、もりひさし:訳/偕成社)。この絵本は、世界的ベストセラーなので、ご存じの方も多いのではないだろうか。はらぺこのあおむしは、月曜日から金曜日まで果物をむしゃむしゃ食べる。それでもはらぺこあおむしは、土曜日にたくさんのお菓子を全部食べてしまう。そうするとお腹が痛くなって、泣き出す。しかし、日曜日には葉っぱをモリモリ食べて、元気になる。あおむしにとっての葉っぱは人間にとっての野菜なので「野菜も食べないとお腹が痛くなって、泣くことになるよ」と教えているのだ。

 これを読んだ子どもは「大好きなお菓子だけじゃなくて、ちゃんと野菜も食べよう!」と思うかもしれないし、大人も「最近外食やコンビニばっかりだったからたまには野菜をとるために自炊するか」と思うかもしれない。『はらぺこあおむし』のような絵本を含め、児童書には凝縮された「気付き」がたくさん詰まっている。

 ぜひ、本書で数ある児童書の中でも楽しく教養を得ることができる児童書の逸品を発見をしていただきたい。

文=大石百合奈