死体の解体、精神崩壊、仲間の裏切り――。「地獄」への扉を開けた少年たちを描く『骨が腐るまで』

アニメ・マンガ

2017/10/15

『骨が腐るまで』(内海八重/講談社)

 ドクロを抱きながら微笑む少女が描かれたその表紙を手に取った瞬間、背筋に嫌な汗が流れた。繊細な筆致で描かれるキャラクターに不穏なタイトル。その組み合わせに、「早く読んでみたい」という衝動に駆られた。『骨が腐るまで』(内海八重/講談社)は、そんな期待を裏切らない極上のサスペンスマンガだ。

 物語は、森の奥で手を取り合った少年少女たちが「大罪の秘密を守り抜くことを誓います」と宣誓するシーンから幕を開ける。信太郎、椿、明、竜、遥。仲のいい幼馴染5人組を結びつける大罪、それはとある人物を殺害し、その死体を埋めたことだ。血に染まった夏の夜から、彼らはひとつの罪を共有する仲間になったのである。

 本作はそんな5人の地獄を描いた物語だ。宣誓をしたあの夜を境に、彼らの日常には常に罪の意識と裏切りの予感が忍び寄るようになった。そして5年が経った16歳の夏、死体を埋めた場所から骨が盗み去られてしまったことで、事態は一変してしまう。いったい誰が骨を隠したのか、隠蔽したはずの罪がどこから漏れてしまったのか――。

 ひとつ嘘をつけば、それを隠すためにさらなる嘘が必要になる。彼らが過去の罪を隠すために、あらたな犯罪へと手を染めていくように。身元が不明な死体を切り刻み、友人の死を偽装する。けれど、それしか手段が残されていないのだ。

 もちろん、彼らの行いは決して肯定できるものではない。ただし、一方的な断罪もできない。物語の発端となった殺人事件、その背景にあるものを知ったとき、読み手は倫理観を揺さぶられることになる。信太郎たちが悪いとはいえないのではないか。そんな戸惑いを覚えるはずだ。

 また、サスペンスを盛り上げるためのスパイスとなる「疑心暗鬼」の塩梅もお見事。宣誓し合った仲間たちがみな秘密を隠し持っていたことが明らかになったとき、そこに疑念が生まれる。――裏切り者はこいつか?

 死体の解体、精神崩壊、レイプまがいのセックス。まだ高校生の彼らを取り巻く状況は異常だ。そんな状況下で信太郎は真実にたどり着くことができるのか。もはや、登場人物の誰も信用できない。まるでサスペンス映画を観ているような緊張感とスピーディーな展開は、ここ最近のマンガのなかでも一級品だろう。彼らとともに地獄への扉を開いてみる覚悟があるならば、ぜひ手に取ってもらいたい。

文=五十嵐 大