30代の未婚率は減少、都心はベビーブーム! 東京の「郊外」は衰退してくのか?

社会

2017/10/19

『東京郊外の生存競争が始まった!静かな住宅地から仕事と娯楽のある都市へ』(三浦展/光文社)

 東京都心の人口が増加し、通勤圏といわれる「郊外」は、地方同様に人口減少が起きているという。『東京郊外の生存競争が始まった!静かな住宅地から仕事と娯楽のある都市へ』(三浦展/光文社)は、マーケティング・アナリストであり消費者研究家として活躍する三浦展氏が、社会の変化と豊富なデータにより、東京郊外の街の未来を読み解く一冊だ。

■残るのは高齢者になった親世代ばかり

 バブル期に開発された、多摩市や所沢市などの、郊外といわれる都心から40キロ以遠の地域、で人口減少が起きているという。そこで生まれ育った郊外2世たちが、長い通勤時間を嫌い、子育てによりよい環境を求めるなどの理由で流出したためだ。本書によると所沢市、多摩市などが現在衰退が進み、狭山市、春日部市などが、典型的な衰退型の郊外であることがわかる。

■晩婚化はストップ傾向

 過去30年ほど、未婚化、晩婚化、少子化が続いていたが、「2015年の国勢調査を見ると、晩婚化の傾向は全国的に止まりつつあるようだ。東京を含め全国で見ても男性は30 代後半の、女性は30代全体で、未婚率が2010年から15年にかけてわずかだが減っている」という。都心部では若い世代の人口が増加しており、子育て期の夫婦も流入しベビーブームが起こっている。中央区では、2005年に871人だった0歳が15年には1927人に、港区も1389人から2962人増えているのだ。「学歴が高く、年収が高く、結婚しやすく、子どももつくりやすい人が、郊外県から東京都内に転出する傾向が強まっているともいえる」と本書は述べている。

■どんな人がどんな街に住みたいのか

 著者が「どういう街にどういう人が住みたいと答えているか」をさまざまなカテゴリー別に調査した結果、年収が高い正社員の男性は武蔵小杉、秋葉原は非正規の男性、高円寺は4代卒フリーター男性、武蔵小山は4大卒フリーター女性、北千住は高卒正社員女性、恵比寿、表参道は正社員の女性に人気ということがわかった。

■「新・四畳半暮らし」で都心に住む

「通勤に時間をかけたくない。しかし都心は家賃が高い」という人たちにピッタリの新しいタイプのマンションができているという。なんと4.2畳! 家賃は6万円弱。スマホとコンビニがあれば用が足りる未婚の若者に向けた、通勤時間解消の解決策だ。

■働き方が郊外の街を救えるか

 リクルートホールディングスへの在宅勤務インタビューによると、「リモートワーク」(在宅勤務)の導入により、鎌倉や京都、夏の間は軽井沢に住むということが可能になったという。通勤問題が解決されることで、居住地域が大きく広がることがわかる。また自宅では落ち着いて仕事ができないという人のために「サテライトオフィス」を、首都圏の主要な街・37箇所に設けているという。起業も含め、働き方の変化がベッドタウンを救う一因になるかも知れない。

 郊外の街づくりは、高齢者が快適に過ごし、最期を迎えることが目的となっているが、「もっと生き生きとした若々しい街をつくらなければならないのではないか」と著者は述べる。さまざまな角度から、生き残る街づくりのヒントが得られる一冊だ。

文=泉ゆりこ