ちょっと待って! その食事健康法、「病気になるための努力」になってない? 医師が教える「最強の食事」とは?

健康

2017/11/8

『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』(牧田善二/ダイヤモンド社)

 “食欲の秋”を、日々の食事、週末の食イベントなどで楽しんでいる人も多いだろう。もしくは、そんな秋とは背を向け、独自の食事法でウエイトコントロールに励む人がいるかもしれない。いずれにせよ “食事”とは私たちにとって重要な生活の一部だ。だから、食に関する話題は、みな関心が高く、情報番組でも取り上げられ、個人的にも、もう何度「○○○ブーム」「×××法」に踊らされてきたことか……。

『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』(牧田善二/ダイヤモンド社)は、糖尿病専門医である著者が、自らの長年の肥満治療や生活習慣病の臨床経験やAGE(終末糖化産物)の研究、そして医学的に積み重ねられたエビデンス(根拠)から導き出した「人体のメカニズムにそった」食事術をまとめている。

「最強の食事」には、まず「血糖値のコントロールが最大のカギである」と著者は説く。私たちの人体の仕組みは、糖質を摂ることにより「血糖値が上がるとセロトニンやドーパミンが放出されて脳が快楽を得る」ようになっているそうだ。その理由は「血糖値が下がりすぎて命を落とさないように」という祖先からの進化によるもの。

 だが、現代における血糖値の急激な上昇は、人体に重大なダメージを与えることが分かっている。糖質(炭水化物も含む)は、私たちに欠かせないものであると同時に気を付けないと、あっという間に過多になる。例えば、砂糖や果糖を使った飲料の糖質量とは?本書は角砂糖個数での換算量を掲載。暑い時にゴクゴク飲むけれど、一体角砂糖にすると何個溶かしたことになるのか、見てほしい。

 さらに、現代人と糖質について恐ろしい指摘がある。

現代人ときたら、飢えてもいないのに脳の快楽のために糖質をとっています。まさに糖質中毒なのです。
アメリカの国立薬物乱用研究所所長、ノラ・ボルコフ博士は薬物依存研究の第一人者ですが(略)「薬物依存と食べ過ぎはメカニズムが似ている」と指摘しています。どれも、脳が「報酬」を得られるために繰り返す中毒だというわけです。

 本書は、序章を割いて、まず“糖質中毒”とどう立ち向かうべきなのかを解説。続く1章は「脂肪は食べても太らない」「運動は食後すぐに行うのがいい」など、新たな食の常識を。2章では、肥満のメカニズムとやせる食事術、3章以降では医学的エビデンスに基づいた「パフォーマンスを最大化」「老けない」「本来の免疫機能を回復させる」という着眼点から、合わせて68の食事法が紹介されている。前述したAGEとは「ありとあらゆる病気や老化現象の真犯人」として4章で詳細な説明がある。最終章の「長生きの秘訣」は、世界の長寿地域への統計調査で分かった共通ルールが示されている。

「はじめに」で著者も触れている通り、日々「健康格差」が広がっているのは実感する。例えば、日本人のがん罹患率は、以前は「3人に1人」と言われていたが、瞬く間に「2人に1人」という時代に。成人の場合、がんに進行するまでには、生活習慣病が大きく関わっているケースが多いと聞く。がんの起因は、まだ不明であるが、ある程度判明したメカニズムから、生活習慣病同様に“食生活・食習慣”が大きく関与していると考えられている。いかに予防していくかが、ますますクローズアップされていくだろう。

 著者は「医者の責務だと考え」「日々更新される世界の医学論文を原文で読むことを日課」にしているという。一般人にできることではないが、医学的な根拠がない食健康法どころか治療法と称するものまで出てくる有り様の昨今。その選択を間違えないよう、“情報の出処”のチェックも重要だ。

 自分と家族の健康寿命をできるだけ保つためにも、どのように食を調整していけばいいのか。「冷静に最新の正しい情報」に基づく、食生活や「食の教養」を身に付けていきたい。

文=小林みさえ