セックス三昧の同棲生活を解消に導いた“太めのニンジン”……ページをめくればシモネタが飛び出すエッセイ『深爪流』

文芸・カルチャー

2017/11/18

『深爪流』(KADOKAWA)

 14万人のフォロワーを抱え、そのひとつひとつのつぶやきが注目を集める・深爪氏(@fukazume_taro)。彼女の発言は芸能ネタから社会問題に至るまで、さまざまな切り口でつぶやかれているはずなのに、そのほとんどがシモネタに着地する……匠の技としか思えないツイートで、人気を博しています。

 そんな彼女の脳内を垣間見られるエッセイとして昨年話題になった前作『深爪式』から1年、つい先日発売されたのが『深爪流』(KADOKAWA)です。前作では、不倫をする人のメンタリティから玉袋の魅力など、幅広すぎる話題をメッタ斬りにしていましたが、今作でもその鋭さは健在。

 たとえば第1章の冒頭に載っている「少し太めのニンジンを見かけるといまでも思い出すあの日のこと」というコラム。じつは、開始わずか14ページ目にして“かつて同棲していた彼氏と1日に何度もセックスに勤しんだ”という内容のエピソードが載っているのです。

「太めのニンジン」がどうなるのかは本編でご確認いただくとして、ここでは性欲満開の深爪カップルの同棲生活をご紹介。

「(元彼)Yがバイトから帰ってくると、『おかえり』『ただいま』の挨拶もそこそこにケツやら乳首やらをまさぐられて、気がついたら再び出し入れをしていた。
 そして、そのあともお風呂で挿入。寝る前も挿入。翌朝起きて挿入。お昼も挿入、とエンドレスで続く。もはや挿入の合間に食事や仕事をしているような生活である」

 この部分だけで、2人の同棲生活がいかに壮絶なのかが伝わります。しかし、数週間後には深爪氏の精神に限界が訪れ、それと同時に起こったニンジン事件ののち同棲は解消。最後の一文に書かれた深爪氏の熱い訴えが胸を打ちます。

 そして、前作における「玉袋枠」ともいえるのが、コラム「イカすイカのはなし」。深爪氏は、和風料理や洋風料理、何にでもマッチするイカのおいしさや魅力について熱く語っています。ちなみに、私はこのコラムを読んで、イカの体が上から「胴体」「頭」「足」の順で構成されていることを知りました。人生には関係ないような知識が身につく、まさにサブタイトルにもなっている“役に立ちそうで立たない少し役に立つ話”の真髄ともいえる内容です。

 ただし、シモネタとイカの話だけでは終わらないのが深爪流。第3章にある「片親育ちは不幸なのか」では、母子家庭で育った著者の過去をひもときつつ、ひとつの答えにたどり着き、後半ページでは一般の人々のお悩みに深爪氏が答えています。

 もはや“一介の主婦”とはいえない快進撃をつづける、深爪氏の最新エッセイ『深爪流』。なんだかくだらないことで笑いたい……そんな夜にピッタリの一冊です。

文=マルイカナコ(清談社)