「煙の魔法」をかけよう! シンプルで自慢できる、燻製のアイデア決定版

食・料理

2018/2/6

『THE男前 燻製レシピ77』(岡野永佑/山と溪谷社)

「燻製」は、なかなかとっつきにくい料理だ。
 保存のためならば、現代人は性能の良い冷蔵庫をもっているし、流通が整っているので年間通して簡単に食材は手に入る。ましてや、狩りや漁に出かけることもない。手間ひまかけて食材を保存する必要性のない環境で、燻製の魅力はどこにあるのだろうか?

 本書『THE男前 燻製レシピ77』(岡野永佑/山と溪谷社)は、料理初心者にとっても、あるいはアウトドアが好きな人や、献立のマンネリ化に悩んでいる人々にとっても、やさしく簡単なレシピを豊富に紹介している。筆者を含めて引っ込み思案になってしまいがちな多くの読み手の背中を、いわば男前に押ししてくれる一冊だ。

■かっこいい燻製料理に手軽に挑戦できるヒントが満載!

 燻製について多くの人が抱いているイメージは、「家でできるの?」「専用の調理器具が要るから、面倒でしょ?」という疑問や不安ではないだろうか。そこで本記事では、燻製未経験の筆者が「男前なレシピ」に初挑戦を試みた。
 本書では調理の難易度を「男前度」というものさしで表し、星が1(★)から4(★★★★)までの多様なレシピを紹介している。さっとつくれる簡単なおつまみから、時間に余裕があるときの週末の気分転換まで、さまざまな調理法がカラー写真も豊富に掲載されている。

 もっとも簡単な手順としては、専用のスモーカー(燻製をつくる道具)がなくても、空焚き可能な中華鍋やフライパンに、サクラやヒッコリーなどのスモークチップ(風味をプラスするための木片)を適量敷き、蓋をして数分燻すだけでよいものもある。

・初挑戦! 一番簡単な男前度★(星1)をおそるおそる試す

 本の解説に従って、コンビニエンスストアで手軽な食材を調達。ポテトチップスやミックスナッツ、かまぼこなど、加工食品の包装を解いてそのまま燻すだけだ。下ごしらえもなく、火加減の調整も気にしないでいいという手軽である。

ポテトチップス(男前度★1つのレシピには写真上の変化があまりないが、少し焦げ目が加わった)

 10分弱燻すだけで、味の変化の度合いは非常に大きい。一口食するだけで、燻製の香りが立つ。短時間で完成した「煙の魔法」に、にわかに燻製の虜になってしまった。

・調子に乗って、難関の男前度★★★★(星4)へ挑む

 入門編の成功で気を良くし、一気に男前度を上げて女性陣に自慢しようとした筆者の目に留まったのが「ベーコン」のページだ。燻製食品としてもっともポピュラーなものである。
 手順は、豚バラ肉ブロックに塩こしょうをまぶして一晩寝かせ、約40分燻すという単純な工程だ。特別な専用器具や技術も必要ない。筆者は調子に乗って専用器具を使ったが、フライパンでも充分だ。

できたてのベーコン(文字通り「手塩」にかけたので愛着はひとしおだ)

ベーコンの断面(立派な塊ごと賞味できるのも醍醐味だ)

 見事なベーコンが出来上がった。自分でもつくれるものなんだ!と単純に感激した。同時に、チップの種類や下味のつけ方などにバリエーションや改良の余地もあり、今後の男前修業の目標を立てられる。

■燻製を通じて、毎日の生活に変化とアクセントを!

 本書を通じて筆者が学んだ“男前”とは、「買ってきた方が早くない?」という疑問に対して、「時間」と「コスト」をきちんとかけるかっこよさだ。その手間ひまをかければ、これほど食卓に刺激と楽しみを与えてくれるものにはなかなか出会えない。

 手作りでつくることが目的ではなく、作業や体験をすることで見えてくるもの。
 古代からの調理法を現代の生活様式に合わせた、シンプルなレシピ。

 燻製のテクニックを身につければ、毎日の食卓もアウトドアでの過ごし方も、もっと変化に富んだものになるだろう。たまには、綺麗な月を眺めながら歴史の遠くかなたを想うことだって可能かもしれない。「煙の魔法」にはそんな魅力がある。

文・料理=大庭 崇