読むだけじゃダメ!? “しんどくならない”Facebookの使い方【ホントは怖いSNS】

ライフスタイル

2018/2/22

 米Facebookは昨年12月、嫌がらせ対策の一環として2つの新機能を発表した。ブロックした相手が別アカウントから接触することを防ぐ機能と、見たくない相手からのメッセージを無視する機能だ。なぜFacebookはこのような機能を追加しなければならなかったのか。その背景と、Facebookとの「適切な付き合い方」について考えていきたい。

■「現実」に即しつつあるFacebook

「Facebookが快適じゃない」――近頃、そう感じる人は少なくないだろう。理由の一端は実名制にある。同僚・上司・友人・家族・恋人などさまざまな関係の人と同じアカウントでつながらなければならなくなったからだ。

 仕事用、プライベート用、両方のプロフィールを用意すべきだという意見は当初からあった。それに対し、Facebook共同創業者兼会長兼CEOのマーク・ザッカーバーグは「仕事上の友だちや同僚とそれ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる。2種類のアイデンティティを持つことは不誠実さの見本だ。現代社会の透明性は、一人が二つのアイデンティティを持つことを許さない」と反論した。

 ところがある時以来、Facebookは堰を切ったように「現実に即した機能」を実装し続けている。たとえば、特定の友達が閲覧できる投稿を制限する「制限リスト」機能(リスト追加した友達は全体公開投稿以外の投稿を見られない)、特定の友達の投稿を30日間非表示にする「スヌーズ」機能。友達の状態を解除しないまま自分の投稿を相手から見えなくしたり、相手の投稿を非表示にしたりする機能まで登場したのだ。

「アイデンティティはひとつ」どころか、しがらみとか人間関係とかいろいろな現実を取り込んでいるのが現在のFacebookなのだ。では、なぜポリシーを変えたのだろうか。

■ユーザー数が増えた結果……

 Facebookの月間アクティブユーザー数は全世界で20億に上る。ユーザー数の増えすぎは、その理由の1つと言えるだろう。実名制かつ顔写真登録が一般的なFacebookでは、お互いが知り合いかどうか判定する機能の精度も高い。共通の知り合いが一人もいない「元彼氏」「元奥さん」が、「知り合いかも」欄に表示されたという話を聞いたのは、一度や二度ではない。

 そのような性質を持っている以上、本心ではつながりたくなくても「つながらざるをえない」パターンが増える。こうなると、ユーザー体験は悪くなる一方だ。また、実名制のもとではほとんど起こりえないはずの嫌がらせ行為も、ユーザー数の激増にともない防ぎきれなくなってきた。こうした理由で、運営側も今回のような機能を追加せざるをえなかったわけだ。

■それでもFacebookを「快適に」使いたい人へ…

 Facebookの研究者であるデビット・ギンズバーグ氏、モイラ・バーク氏の論文は興味深い。自分から投稿・コメントをしない、ニュースフィードを読み続けるだけのユーザーはFacebookから悪影響を受ける可能性があるという。逆に、ソーシャルメディアを「人との交流」に活用すると、良い影響があるそうだ。

 Facebook社の初代CEOショーン・パーカーは、「Facebookは社会的評価を求める人間心理の脆弱性を利用するもので、中毒性があることをザッカーバーグも理解していたのに、あえてサービスを立ち上げた」と批判的に語っている。

 SNSは、社会的評価や自己承認欲求に飢えた人の心に強い中毒性をもたらす。同時に、劣等感や嫉妬心も呼び起こす。また、実名制は人間関係上の問題もSNSに呼び込んでしまった。

 今のFacebookはおそらく、多くの人にとってあまり快適じゃないはずだ。けれど、それでも、やはり使いたくなってしまうのが人間というもの。Facebookは今回追加したような機能を、今後またどんどん追加するだろう。「最近あまり楽しめていない」という人はこのような機能をうまく取り入れてほしい。ただ読むのではなく、積極的に交流してソーシャルメディアのメリットを甘受してほしいと思う。

文=citrus 高橋暁子