心をつかむ愛されレシピ! 47都道府県の住みます芸人が作る新・おふくろの味
公開日:2018/3/5

その土地で愛され続けてきた料理はおいしい。これは、まぎれもない真実だと思う。本書『よしもと芸人×dグルメ みんなで作る!ご当地とっておき料理』(「ご当地とっておき料理」編集部/ヨシモトブックス:発行、ワニブックス:発売)は、そんなニッポン津々浦々で愛されてきたおいしさを実感しようと、料理自慢の3人の「よしもと芸人」と47都道府県の「住みます芸人」、そして食の総合サイト「dグルメ」のコミュニティユーザーから寄せられた「ニッポンのおいしいレシピ」をまとめたものである。
では、3人のよしもと芸人(ボルサリーノの関好江、犬の心のいけや賢二、はんにゃの川島章良)が考案したご当地料理のレシピを紹介していこう。関は、愛知の「ひつまぶし」と北海道の「豚丼」を、まさかの組み合わせで作った「豚丼ひつまぶし」に代表されるような、おなかもフルに満たせそうなおふくろ系ご当地料理が得意だ。いけやは、郷里の静岡のワサビやマグロなどの名産食材から、時間をかけずにササッと作れるおしゃれで本物な味のレシピを紹介。だしソムリエ1級の資格を持っている川島は、水と昆布から丁寧にこした一番だしと、郷土料理をかけ合わせた、料亭風ご当地レシピなどを提案する。
さすがはよしもと芸人、アイデアが光っている。夕食作りにマンネリを感じていた筆者も本書で右脳を刺激されたので、夕食レシピの参考にすることにした。
魚が食べたい気分なので、いけや考案「バジル&チーズのイタリアン鯵フライ」をメインディッシュに。お酒のオツマミ用に、川島いち推しの「お新香ステーキ」をチョイス。いけやはアジフライ用のアジを長崎産で作っていたが、近所のスーパーで調達したアジは島根産だった。このへんは柔軟に対応すれば良いだろう。早速、下準備としてパン粉にバジルと粉チーズを加え、レシピどおりに作っていく。最後にトマトを刻んでソースも作ってかければ、おしゃれな仕上がりに。

さて次は、「お新香ステーキ」。こちらは岐阜の郷土料理で地元では「漬けステ」と呼ばれているらしい。冷蔵庫の片隅に残っていた野沢菜を使ってみる。まず野沢菜をバターでいため、といた卵にだし汁を注ぎ、フライパンの野沢菜と一緒にふんわりとした半熟の卵とじにする。だし汁たっぷりの茶碗蒸しみたいだ。仕上げは、揚げたアジフライにトマトソースをかける。漬け物ステーキは、たっぷりのカツオ節と紅しょうが。さあ、完成だ。

味の感想は、アジフライは衣に粉チーズを入れることで、ふっくらアジが包まれ、サクサクと香ばしくなることがわかった。漬け物ステーキも、野沢菜の塩気が卵のやさしい味と調和する。ビールにもワインにも合うし簡単に作れるのも魅力だ。
ご当地レシピで郷愁を誘われたら、次はその土地を、旅してみてはどうだろう。そんな使い方もできる、楽しくて実用的な1冊である。
文=佳山桜子
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