体内チップですいすい乗車!? 暮らしを激変させる次のテクノロジーとは?

社会

2018/3/7

『大予測 次に来るキーテクノロジー』(城田真琴/日本経済新聞出版社)

 スウェーデンではマイクロチップの体内埋め込みが始まっている。個人情報が書き込まれたチップにより、自販機の決済や鉄道への乗車などをキャッシュレスにする取組だ。チップは痛みもなく手に埋め込めるという。

 スウェーデンの現金決済はわずか数%に減り、現金が消える日も近いようだ。財布どころかATMなど紙幣を流通させるインフラも不要になり暮らしは大きく変わることだろう。そんな明日を紹介した1冊が『大予測 次に来るキーテクノロジー』(城田真琴/日本経済新聞出版社)。著者の城田真琴氏は、未来予測で定評のある野村総研のアナリストである。

 自動運転が実現すれば、車は動くリビングルーム。航空業界やホテル業界にまで打撃を与えるとの予測もある。9割がヒューマンエラーに起因している自動車事故が解消すれば、保険業界は加入者を失うし、メーカーは事故の責任を負わないと車が売れなくなる。完全自動運転への行程は公表されておりすぐ目の前だ。日本の基幹産業であるだけにぜひ理解しておきたい動向だ。

 センシング技術はIoT(Internet of Things)の下、電球メーカーさえも、ユーザー個々人へ最適な照明を提供するサービス提供者に変わっていく。さらにその先にあるIoH(Internet of Human)は、我々の身体が発する生体データの活用だ。保険や健康管理の連携により、医療費低減や健康寿命の伸長を促すだろう。

 チャットボットとは、チャットとロボットからなる合成語だ。質問や要求に応えるコンシェルジェの役割を担う。検索エンジンにはすでにチャットボットの統合が提案されている。企業のサイトを訪れなくても、検索エンジンが総合案内人として振舞うことになる。スマホ、自宅、そしてポータルと一般生活者の周りもコンシェルジェだらけになるのかもしれない。

 仮想通貨の基本技術、ブロックチェーンはこれまでの経済活動が前提としてきた台帳の集中管理を分散化し公開共有する技術だ。個人間での決済や送金を可能にし、さらに権利移転も担うことができるので、金融業や不動産業ほか取引の仲介や代行を不要にしてしまう。取引に関わるコストがゼロになれば、住み替えや投資行動などが大きく変わることになるだろう。

 インターネットは、スマホ、クラウドなどの新技術により、何でも飲み込むコミュニケーション基盤へ進化を続ける。進化は、私たちの消費行動、人との繋がり方、働き方を変え、この変化した暮らしを基盤はデータとして蓄積する。そしてデータはAIにより知性へと変わっていく。紹介されるキーテクノロジーは、この知的になっていく基盤と人との関係を深め、一人ひとりに最適化されたサービスを生み出すことだろう。産業界はこの進化への対応を欠かせないし、生活者はより欲求に合ったサービスを享受できる。テクノロジー音痴でも読みやすい1冊だ。ページをめくりつつ将来への思いをめぐらしてみよう。

文=八田智明