人と空気を操る“ダークサイド・スキル”とは? 戦うために必要な本当の力

ビジネス

2018/3/13

『ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技』(木村尚敬/日本経済新聞出版社)

 仕事をしていると、綺麗事だけではうまくいかないことが多々ある。正しいことを言っているのに相手がそれを良しとしなかったり、間違っているのに誰も何も言えなかったり。なぜなら、自分も相手も、常に正しい判断ができる機械ではないからだ。間違いを指摘されれば気分を害するのは仕方がないし、長く生きていればいるほど、自分を変えるのは難しい。

 しかしだからといって、言いなりになってばかりいると、部下からの信頼をなくしてしまう。それに、言っていることがコロコロ変わる上司なんて、部下からすれば信用できないだろう 。自分の意見をきちんと持って、必要ならば貫くことも大切なのだ。そうやって芯を持ってうまくやっていくには、表の顔とは別に裏の顔が必要、というのが、この『ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技』(木村尚敬/日本経済新聞出版社)の考え方だ。

 本書によると、上にいる人ほど裏の顔、本書の言葉でいう“ダークサイド・スキル”が必要となってくるらしい。
 ちなみに、表の顔“ブライトサイド・スキル”は、ロジカルシンキングや財務会計知識、プレゼン力など、「社会に出たら必要」だと教えられ、学んできた力。それに対し、ダークサイド・スキルは、人や組織を思い通りに動かし、空気を支配し、嫌われてもそれを押し通せる力のことをいう。
 どちらも必要でありながら、この後者については、教えられていないどころか「良くないこと」として植え付けられていることが多い。でも、どちらも使いこなせなくては、上に立った時に使いものにならない 。では、タイトルにもある“7つのダークサイド・スキル”とは、具体的にはどんなスキルなのか。いくつか見ていこうと思う。

 1つめは、「思うように上司を操れ」。上司というのは、現場で実際に動いている人ほどリアルな状況を把握していない。そのため報告書や議事録を頼りに憶測で判断するしかない。つまり、現場と上司を繋ぐ「間にいる人間」は、上司に伝える情報を操作することで事実上思うように上司を操ることができる。そして、むしろそうするべきなのだ。本書内にも、「表向きはファイティングポーズを維持しつつ、裏で先を見通したネゴシエーションを進めておく強かさ」が必要と書かれている。ここにいる人間の能力によって、会社の将来は大きく変わってくるのだ。

 2つめは、「KYな奴を優先しろ」。会社は、放っておくと自然と“同質化”が進んでいく。同質化が進んだ会社は、コミュニケーションは取りやすいが、新しいアイデアが出にくく手詰まりになってしまいがちだ。そんな中で、たまに人と違う意見を言う人間が現れる。その時にその人を排除しようとするのではなく、話を聞く姿勢を持つことが大切なんだとか。そうやっていろいろな 意見が言いやすい職場にしておくことで、ひとりひとりが真剣に物事を考えるようになり、多様性のある組織になっていく。

 他にも、「(3)使える奴を手なず けろ」「(4)堂々と嫌われろ」「(5)煩悩に溺れず、欲に溺れろ」「(6)踏み絵から逃げるな」「(7)部下に使われて、使いこなせ」といった項目が続く。詳しくは本書を読んでほしいところだが、どの項目にも共通していえることは、「根回しをして、いざという時に使える神経回路(人脈)を作っておくこと」。そしてそのうえで、「自分の意見に責任を持ち、貫くこと」だ。

 この『ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技』には、こういった、“事業を成功させるためのスキル”が網羅されている。

 ダークサイド・スキルに後ろめたさを感じるのではなく、ぜひとも必要なことだと自信をもって遂行してほしい。そして私も、遂行したい。会社は、売上を上げなければ続けていけない。そう考えれば、ダークサイド・スキルも1つの正義なのだ。

文=月乃雫