ゴリゴリ男に変身する『魔法少女俺』… “次世代型魔法少女”マンガ3選!

マンガ

更新日:2018/4/22

 突然ですが皆さん、魔法少女はお好きですか? 妖精が突然現れて、私を魔法少女にしてくれないかな~なんて、妄想した人も多いのではないでしょうか。

 サリーちゃんや、アッコちゃん、魔女っ子メグちゃん、クリィミーマミにおジャ魔女どれみなどなど、どの世代の魔法少女も、もれなくプリティ。そしてキュート。可愛いステッキを持って、フリフリのお洋服に変身するのがセオリーです。

 ところが、ここ数年、そんな魔法少女に明らかな異変が起きています。暴力シーンやグロテスクな表現が満載で、戦い方もえげつない。そんな“次世代型魔法少女”漫画が急増しているのです。

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 恐らく、この流れは『魔法少女まどか☆マギカ』から始まったのではと推測します。ただ、泥臭く、汗と血にまみれた魔法少女はそれはそれで魅力的だったりするのです。

■ゴリゴリの男へと変身する、魔法少女オレ!

『魔法少女俺』(毛魂一直線/ふゅーじょんぷろだくと)

『COMIC Be』に掲載されており、4月よりアニメがスタートした『魔法少女俺』も、泥臭い魔法少女作品。通常、魔法少女といえば、変身して可愛い女の子になるものですが、この作品は一味違います。可愛い女の子が、ゴリゴリの男へと変身するのです。

(あらすじ)
売れないアイドルとして活動する主人公のさきは、片思いの相手である桃拾が、妖魔に連れ去られる現場に遭遇! 桃拾を救うため、妖精のココロちゃんと契約し、魔法少女に変身。しかし、変身した姿はどこからどう見てもゴリゴリのマッスル男。その日から、さきは「魔法少女オレ」として妖魔と戦うことになる――。

 なぜ男になってしまうのかというと、戦闘には男の体のほうが適しているという、極めて現実的な理由です。ところが、魔法少女というアイデンティティを守るため、コスチュームはフリフリのスカート。よって、パッと見は魔法少女というよりも、ただの変態です。

 さらに敵と戦うための装備が、手榴弾や拳銃など物騒なものばかり。最終的にマジカルステッキなるもので戦うことになるのですが、特に機能がついているわけではないので、殴るしかありません。

 絵柄が可愛い分、キュートさと変態さのせめぎ合いがすごい。また、出オチ感満載のギャグ漫画なのに、読んでいると、意外にも謎解きミステリーの部分もあったりと、腹の立つ面白さ。上下巻のコンパクトな作品なので、スルッと読めます。

■『魔法少女サイト』(佐藤健太郎/秋田書店)

『魔法少女サイト』(佐藤健太郎/秋田書店)

 一方、ギャグはほとんどナシ、バイオレンスな魔法少女が楽しめるのは、『週刊少年チャンピオン』で連載中の『魔法少女サイト』。完全大人向けのヘビーなストーリーです。

(あらすじ)
 主人公の彩は、家庭では兄のストレス発散のためのサンドバッグにされ、学校では同級生たちから凄惨ないじめを受ける日々を送っていた。每日死ぬことばかり考えていた彩だったが、ある日PCを覗くとそこには「魔法少女サイト」という言葉とともに、不気味な少女の顔が映っていた。正体不明の“サイト管理人”から与えられた銃によって、彩の運命は大きく変わっていき……。

 魔法少女に選ばれる基準は、“不幸”であるかどうか。魔法のステッキを手に入れた少女たちは、自分を不幸にした相手を次々と殺していきます。最初のうちは極悪人ばかりがターゲットにされるのですが、途中から魔法少女狩り(マジカルハンター)によって、力を持った魔法少女たちも次々に殺されてしまいます。

 サイト管理人とは一体誰なのか? 魔法を使うたびに命が削られていく少女たちの運命はどうなるのか……などなど、サスペンス要素がもりもりの作品。現在は、新たな主人公を迎え、第2部が連載中です。

 同じ作者の『魔法少女・オブ・ジ・エンド』もバイオレンスな描写が満載ですが、さらにアドベンチャー的な要素もあって、おすすめです。

■『間違った子を魔法少女にしてしまった』(双龍/新潮社)

『間違った子を魔法少女にしてしまった』(双龍/新潮社)

 そして、pixivで人気になり、単行本化されたのが『間違った子を魔法少女にしてしまった』。ギャグ漫画です。

(あらすじ)
 人類の敵・アタスンモから世界を守る魔法少女を探していた妖精のミュは、類まれな資質を持つ女子高生、華代を発見。ところが、可憐な容姿とは裏腹に、超絶暴力的な華代は、絶対に魔法少女にしてはいけない子だった――というストーリー。

 魔法少女の力を使わず、素手でアタスモンを倒したり、何かにつけミュに鉄槌を下したりと、やりたい放題で、魔法少女の概念をことごとくひっくり返してくれます。

 顔も衣装も可愛いのに、戦闘になると、とにかく暴力的になる華代は、まさに魔法少女界の異端児。その反面、義理人情を重んじるという昭和のヤンキー魂を持ち合わせているのも魅力です。

 大人になって、魔法少女のことなんかすっかり忘れてしまったあなたに、ぜひ読んでほしい次世代型魔法少女漫画。きっと新しい価値観が得られるはずです。同時に、昔憧れた魔法少女漫画をもう一度読みたくなることでしょう。

文=中村未来(清談社)