すごい会社は何が違う? アップル、グーグルに続く次世代最先端企業のチームづくりとは

ビジネス

公開日:2018/4/24

『EXTREME TEAMS(エクストリーム・チームズ) アップル、グーグルに続く次世代最先端企業の成功の秘訣』(ロバート・ブルース・ショー:著、上原裕美子:訳/すばる舎)

 優れた企業は、組織を構成する「チーム」がうまく機能しているという。現代の最先端企業7社を牽引した偉大なチームを「エクストリーム・チーム」と呼び、そこで共通する思考や行動を分析した1冊が『EXTREME TEAMS(エクストリーム・チームズ) アップル、グーグルに続く次世代最先端企業の成功の秘訣』(ロバート・ブルース・ショー:著、上原裕美子:訳/すばる舎)である。著者は、リーダーとチームの能力を発揮させるコンサルティングを専門としてきた経営コンサルタントである。

■最先端企業の成功の秘訣は、チーム力にある

 エクストリーム・チームとは、それぞれが高いモチベーションを持ちながら、チームワークにより卓越した成果を出すチームのことだ。エクストリーム・チームを持つ企業として、ホールフーズ、ピクサー、ザッポス、エアビーアンドビー、パタゴニア、ネットフリックス、アリババが挙げられている。日本でもよく知られている企業ばかりだが、どれも企業として新しい市場(マーケット)をつくり出し、新しい価値観を提案してさらに浸透させた、先鋭的な会社たちである。

 これらのエクストリーム・チームに共通してみられる成功要因には、「強い執着心の共有」「企業文化への適性を重視した採用」「目標達成に向け優先事項に焦点を絞る」「必ず結果を出すという厳しさを持ちながら、協力・信頼・忠誠心が育つ環境づくり」「衝突を恐れず議論する」などが挙げられる。

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 たとえば、日本でも定額動画配信サービスが定着してきた「ネットフリックス」社がチーム内の環境づくりのために取り組んでいる項目をみていくと、「情報の透明性」「絶大な自由裁量」「必要だと思うだけ休みをとれる(社員はモチベーションと能力を持つこと前提)」などが挙げられている。また、解雇する場合には手厚い手当を提示するのだという。先鋭的企業は、過剰に残酷な文化を生み出さないように配慮しつつ、成果重視の体制を整えているということだろう。

■単なる成果至上主義では、チームは疲弊してしまう

 著者は、「成果を出すこと」と「適切な人間関係を築くこと」が、企業の追求すべき2大目標であると述べる。「究極の組織」であるエクストリーム・チームをつくるためには、どちらも突出していなければならないのだ。成果だけを追求した場合、社員がダメージを受け、そうするとまわり回って結果的にチーム全体にもダメージを与えることになるからである。

 チームの運営がうまくいっていれば、他社に対する競争優位になるのは間違いないが、チームのマネジメントというのは極めて複雑で難しいのが実際だろう。創造性と努力が必要とされるため、多くの企業やリーダーはまだそれを持ち合わせていないと著者は厳しく指摘する。

 だが、本書で挙げられた7社とも実際には失敗と試行錯誤を重ねてきたのだ。最先端企業は、ただの「良い会社」で終わるのではなく、「偉大な会社になりたい」という思いを持っている。それには成果と人間関係の両方を徹底的に追求していく必要があるのだという。理想の「突き抜けた」チームをつくり、成果を挙げる方法を学べるとともに、勢いのある最先端企業の成功の秘訣を肌で感じることができる、たいへん魅力のある1冊である。

文=泉ゆりこ