心の痛みに染みる! がんばり屋さんが楽になれる心の処方箋
公開日:2018/5/8
新しい環境や仕事に少しずつ慣れ始めてくると、心に痛みがあらわれることもある。体の痛みは病院やマッサージに行けば軽減させやすいが、心の痛みは本当に限界になるまで気づかないことも多く、気づけても対処法が分からないこともあるだろう。こうした時におすすめなのが『がんばり屋さんのための、心の整理術』(井上裕之/サンクチュアリ出版)だ。本書には、人にうまく甘えられなかったり、心が凍ってしまっていると感じたりする方に響く、言葉の処方箋が収録されている。今回はその中でも筆者の心に効いた、ふたつの処方箋をご紹介したい。
■ひとりでがんばらなくてもいいよ
責任感が人一倍強い方は、周りの要求や目の前の相手の期待に応えようとして、頑張りすぎてしまうことも多い。こうしたタイプは、自分が頑張っているということになかなか気づけず、「もっとがんばれるはずだ」と思ってしまいがちだ。そんな方に井上氏は、自分を褒め、抱きしめてあげようと提案している。
ひとりでがんばりすぎてしまう人は、力の抜き方が分からず、きちんと体や心を休ませてあげられていないことも多い。だからこそ、まずは自分がちゃんと頑張っているのだということに気づき、体や心を労われるようになることが大切だ。自分の努力を認めてあげることができれば、他者と同じように自分のことも気にかけてあげられるようになっていくだろう。
また井上氏は、勇気や元気を与えてくれる“パワー・パートナー”を作ることもおすすめだと語っている。ひとりで目の前の物事に取り組んでいると、プレッシャーやストレスに負けてしまいそうになる。しかし、自分を笑顔に変えてくれるパワー・パートナーがいれば、拠り所ができる。仕事の悩みを自分の中で抱え込んでしまうことが多いという方は、パワー・パートナーに頼る癖をつけていってみてほしい。
■心が悲鳴をあげるまえに
日々、膨大な量の仕事に追われていると「~しなければならない」という感情で心と頭が埋め尽くされてしまう。そんな心の不調は体にも悪影響を与え、不眠の症状があらわれ始めたり、仕事に集中できなくなってしまったりすることもある。これは、心が悲鳴をあげているサインだ。だからこそ、「もうこれ以上、がんばらないでいいんですよ」という言葉を自分に投げかけてあげることが大切だ。責任感が強く、真面目な人ほど「もっと~しなければならない」と思い込み、自分で自分の首を絞めてしまう。しかし、「あなたは何の努力をしなくても、そのままでいいんですよ」と心に語りかけてみてほしいと井上氏はいう。がんじがらめになっていた感情を少しずつほどいていくことができれば、悲鳴をあげた心を救うこともできるだろう。
また、仕事が楽しくないと感じている方は、仕事に対して別の意味づけをしてみることもよいそう。例えば、楽しくないことを経て、自分は成長していくのだと考えることができれば、一回り大きな人間になれる。これは職場の人間関係においても言えることだ。どんな世界に行っても、苦手な人や価値観が合わない人はいるものだが、避けてばかりもいられない。そんなときは、嫌な人に会う時間が自分を成長させてくれる時間になると思い、目の前の相手と新しい関係を築いていってみるのもよい。自分の意識を変えれば、今までとは違った世界も見えてくるだろう。
人は年齢を重ね、社会の荒波にもまれていくうちに、幼い頃持っていた自信や自尊心を少しずつ失っていってしまう。しかし、後ろ指を指されたり、悪口を言われたりしても、自分らしく生きていけばいいのだ。現代はSNS上でも人の意見や視線が気になるため、生きづらい。だからこそ、心が苦しくなったときにホっと安心できるような処方箋を本書で探してみてほしい。
文=古川諭香
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