サラリーマンに朗報! 中小企業の個人M&Aで豊かな資本家になれるチャンス到来!

暮らし

2018/5/23

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門』(三戸政和/講談社+α新書)

 最近各メディアで、「大廃業時代」というワードが目立つ。主に後継者不足という理由から、将来的に中小企業の廃業が相次ぐと予想され、その数は「2020年までに廃業リスクを抱える中小企業数は100万社を超える」(SankeiBiz 5月3日)という。

 こうした状況の中でいま、中高年サラリーマンたちが熱い視線を注いでいるのが、退職金で中小企業を買って社長業を務める、「個人M&A(企業買収)」というセカンドライフだ。

 ではいったい、個人M&Aにはどんなメリットがあるのか? 『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 人生100年時代の個人M&A入門』(三戸政和/講談社+α新書)からそのエッセンスを学んでみよう。

 本書はタイトルが示すように、個人M&Aのメリットを紹介するとともに、アクションの起こし方、買収ノウハウの基本スキームまで指南する入門書である。

 著者は冒頭、2017年のフォーブス長者番付を紹介し、第1位の孫正義氏(ソフトバンク)をはじめ、ラインナップされた面々の多くが、“雇われ”ではない、会社を所有するオーナー社長であることを指摘する。そこから、個人M&Aを活用することで、サラリーマンにもオーナー社長へと転身し、業績次第で資本家、豊かな資産家になれるチャンスが開けている事実を教えてくれる。

 そして著者は次のように主張する。大きな企業で20~30人規模のチームを率いて、マネジメントを経験してきた人材なら、勘所のわかる業界で自分のスキルや経験を活かしつつ、中小企業の社長は十分務まる。日本の99.7%は中小企業。技術や人材の宝庫でもある。能力のあるサラリーマンが事業を承継し、中小企業の社長になることは、日本経済そのものに貢献することにもなる──と。

 加えて、当人の経済的豊かさという面でも「おいしい」のが個人M&A最大のメリットだ。サラリーマン時代の給与よりはるかに高額な役員報酬を得るほか、最後に会社という「箱」を売却してキャピタルゲイン(売却益)を手にするなど、サラリーマンにはうかがい知れないさまざまな利点がそこにはある。

 人生100年時代は、定年後もなお30~40年の時間がある時代だ。意欲と志のあるサラリーマンにとって、能力を生かして豊かになれる個人M&Aは大きな魅力がある「もうひとつの選択肢」だといえるだろう。

 しかしである。「会社を買え」と言われても、多くの人は疑問に思うはずだ。

●疑問(1)売りに出るのは価値のない会社ではないのか?
 著者はこう回答する。「そんなことはありません。中小企業の半数以上が黒字廃業しているのです」。本書に提示されたデータの一部を紹介すると、2013年から15年までに休廃業・解散した8万3555社のうち、売上高と経常利益率が判明した6405社の50.5%が黒字だったという。そしてその廃業理由の多くが「事業承継における深刻な後継者不足」なのだそうだ。

●疑問(2)優良な会社は高くて手が出ないのではないか?
「そう考えるのが普通です」と前置きしつつ著者は、「しかし、会社の値段の決まり方は複雑で、それなりの知識と情報感度が高ければ、数百万円でも優良企業を買うことはできます」と断言する。

●疑問(3)AIに仕事を奪われるような未来のない会社ではないのか?
 著者はこの疑問に答えるために、「プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント」という市場分析手法を紹介する。商品の市場占有率や成長を見ながら、事業戦略を練るというものだ。つまり、いつの時代のどんな業界にも、変化の時期は来る。アナログ産業がデジタルに飲み込まれたように。しかしその中でも事業を時代の潮流に合わせて変え、成長のチャンスを多くの企業がつかみ取っているというわけだ。本書にはそうした企業例も様々に紹介されている。

 本書には、個人M&Aのメリット・デメリットといった基礎編から、情報収集の仕方、進め方など応用・実践の知恵まで、わかりやすく網羅されている。セカンドライフを考える中高年のみならず、起業はしたいが全くゼロから事業をおこす大変さに二の足を踏む若年世代の人たちにも多くの示唆を与えてくれるはずだ。興味のある人は、ぜひ本書を手にしてみるといいだろう。

文=町田光