未婚、貧困、高齢化…「アルコール消費量」から見える47都道府県の真実

ライフスタイル

2018/5/28

 統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」を運営し、1000以上の都道府県別ランキングを調査する中で見えてきた「47都道府県のこぼれ話」。第一回は酒にまつわるお話です。

■東京人が1年間に飲むアルコール量はビール190リットル相当!

 最初に比較するのはアルコール消費量。

 この表は、「純アルコール換算消費量」と言われる、純粋なアルコール消費量を都道府県別で比較したものです。アルコールの消費量は、ビールやウイスキーといった種別の販売数量にビール5%、ウイスキー40%など標準的なアルコール度数をかけて求めます。表に落とし込む際は、この数を各都道府県の成人人口で割ります。

 アルコール消費量のトップは東京都で、ひとりあたり年間9.54リットル。ビールの消費量に換算すると190.8リットルで、大瓶318本。そんなに! と思われるかもしれませんが、コンビニで買うビールから居酒屋で飲む日本酒までを含めた消費量ですので、それぐらいにはなりそうです。

 東京近郊に目を向けると、埼玉県が38位で5.88リットル、神奈川県が33位で6.14リットル、千葉県が31位で6.18リットルと、どの県も全国平均の6.77リットルより少なめ。それなのに東京だけ飛び抜けて多いのは、埼玉・神奈川・千葉から東京に通うサラリーマンが会社近くで飲むためでしょう。同様に、大阪の消費量も近県より多くなっており、「都会⇔ベッドタウン」という生活スタイルがアルコールの消費量に影響を与えていることが分かります。

■隠れた“酒豪県”、山梨

 続いて首都圏以外の消費量を見てみましょう。鹿児島県、宮崎県などの南九州や、新潟県以北で消費量が多くなっています。南九州は言わずと知れた焼酎王国で、新潟も日本有数の酒どころ。

 酒の種類は異なるものの、アルコール換算すると両者はしのぎを削るライバルであることが分かります。焼酎や日本酒のように、特定の酒がアルコール消費量を押し上げている都道府県は他にもあります。山梨県のワインです。

 南九州や新潟のような酒豪県ほど上位ではありませんが、周囲の都道府県と比べると、やはり目立ちます。

 一方、下位は関東から関西にかけての本州中央部が多くなっています。アルコール消費量は工業生産額と負の相関があり、工業生産額が高い都市部ほどアルコール消費量が少ないと言えそうです。

 先ほどの酒類別統計に戻ってビール消費量を見ると、東京都が1位。さらにアルコール消費量がそれほど多くなかった大阪も4位に入っています。

 東京以外の都市部でアルコールの消費量が少ないこととあわせて考えると、都市部は仕事帰りの”乾杯需要”で度数の低いビールが消費され、地方では度数の高い焼酎や日本酒が、より多く消費されていると言えそうです。

■アルコール消費量が多い人の特徴

 最後にアルコール消費量と他の項目のかかわりを見てみましょう。飲み屋の店舗数と正の相関が高く、飲み屋の多いところでアルコール消費量が多くなっています。ただ、酒飲みが多いから飲み屋が多いのか、飲み屋が多いから酒飲みが多いのか、因果関係の分析が難しいところです。

 社会環境とのかかわりを見ると、貧困率と正の相関があり、1世帯あたりの貯蓄額と負の相関があります。つまり、貧困率が高く貯蓄額の少ないところでアルコールの消費量が多くなるということ。統計的には、楽しさよりもつらさこそ酒を飲む大きな動機と言えそうです。

 さらに50代男性、60歳以上男性の未婚率と正の相関があり、アルコール消費量が多いところほど高齢男性の未婚率が高いというのは身につまされる結果です。

 お酒一つでこれだけ多様な47都道府県。引き続き、統計をもとに都道府県のこぼれ話をお届けします。

文=citrus 統計ジャーナリスト 久保哲朗