2026年までの経済を大予測! 東京五輪の後で本格化するバブルが、2024年以降に崩壊する!?

ビジネス

2018/7/2

『乱高下あり!バブルあり! 2026年までの経済予測』(渡辺林治/集英社)

 今後の日本の経済。もっと身近なかたちで言えば、私たちのお財布事情はこの先どうなっていくのか? そのような予測・議論の上で重要になってくるひとつの区切りは、やはり2020年の東京オリンピックだろう。そのこと自体は間違っていないと思うが、行政でも経済でも、いまは何でも「東京オリンピックのある2020年」を区切りとする風潮が強く、近視眼的な見通しに偏っているようにも感じてしまう。東京オリンピックが終わっても、日本経済は続いていく。そう考えると、中・長期的な経済の見通しをあらかじめ持っておくことは非常に重要だ。そこで紹介したい書籍が『乱高下あり!バブルあり! 2026年までの経済予測』(渡辺林治/集英社)という1冊だ。

「今後10年の日本経済」を予測する本書は、以下の3点を結論として掲げ、その傾向と要因を解説する構成になっている。

(1)2018年から20年にかけて、金融市場は乱高下を続ける。
(2)2020年代、日本経済は拡大とバブルを続ける。ただし、2024~26年頃には、バブル崩壊に注意が必要である。
(3)今後3年は個人も企業もチャンス到来に向け、よく考えて準備を進めるべきだ。

(本書3~4頁より)

■デフレ時代の終焉。2018年はインフレ時代の幕開け?

 日本銀行が2018年1月に発表した展望レポートでは、消費者物価が拡大を続け、2%に向けて上昇率(対前年比)を高めていくと記されていた。つまり、今後も金融緩和が続けられるということだ。

 確かに今年に入ってから値上げのニュースは多く感じられる。小麦粉、ゆうパックの送料、光熱費、ビールなど、どれも値上がりは顕著だ。しかしこれはまだ序章に過ぎず、日本での本格的なインフレの到来は2019年以降ではないかと本書では予測する。

 第一の理由は、世界経済が全体的に拡大傾向にあり、それに引っ張られて需要増大が予想されることだ。特にアメリカでは大型減税法案が成立し、企業の設備投資、買収、株主還元は積極的になりそうだ。

 第二の理由は、中国が「小康社会」(いくらかゆとりのある社会)を2020年の目標として掲げ、産業の効率化を図っていること。これにより金属や紙パルプといった素材市場の価格が上昇するとみられている。素材・原価の価格が上がれば、当然製品の価格も上がることにつながる。

 第三の理由は、原油価格の上昇だ。本書は過去データの研究をもとに、今後石油価格はジグザグしながらも上昇傾向を強めるとにらんでいる。

■現状はまだバブルの5~6合目

 記憶からやや薄れつつあるが、2018年1月に日本とアメリカの株式市場は歴史的な上昇を記録した。しかし2月からの株価急落を受け、現在乱高下の時期に入っている。この動きをバブルの崩壊だと捉える声も耳にするが、「これはバブルの崩壊ではなく、バブルに向けての5~6合目だ」と本書は分析している。今後2020年代に日本でバブルが本格化する理由として、以下の7点を挙げている。

【海外要因の理由】
(1)世界最大の経済大国であるアメリカで、大型減税法案の影響により景気拡大が進む
(2)アメリカで金融機関規制の緩和が進み、金融市場と実体経済への資金流入が加速する
(3)アメリカ政府のインフラ投資が続き、景気拡大の勢いが長期化する
(4)各国政府が金融緩和に踏み出す環境が、2020年以降に整う

【日本における理由】
(5)続投が決まった黒田日銀総裁が、長期的に金融緩和を続ける
(6)消費税増税と2020年東京五輪後の不況に対する景気対策が過剰になる
(7)コーポレートガバナンス改革を受け、日本銀行がM&Aや投資を加速させる

(本書122頁より)

 こうして膨らんだバブルはやがて2024~26年に崩壊する可能性が高いので注意が必要だと著者は指摘している。最大のポイントは、バブル崩壊のタイミングが2028年のロサンゼルス・オリンピックの前だということ。そう予測されるメカニズムは、ぜひ本書を手に取って確認されたい。

 さらに著者は私たち消費者や個人投資家に向けて、次のように注意を促す。

私が強調したいのは「バブルは崩壊する」ということです。
いったん膨らんだバブルは、崩壊すると分かっていても、もう誰にも止めることはできません。それは人類の歴史が証明しています。

(本書142頁より)

 速さを増す世界潮流の中でも、とりわけ東京オリンピックを控えて激しい動きを見せると予想されている日本経済。経済には詳しくないという人、あるいはこれまで詳しくなかったという人こそ、今後の未来予想図を自分の中に持っておくことは大切であると感じる。本書は、海外の大きな潮流やこれまでの経済史を俯瞰して見るときに、「日本は今どのような立ち位置にいるのか」という視点で、将来に関するヒントを得られる1冊である。

文=K(稲)