好きなものを食べるだけ!? ずぼらでもできてストレスにも効く瞑想法!

暮らし

2018/7/4

『ずぼら瞑想』(川野泰周/幻冬舎)

 今ではグーグルやマイクロソフトといった世界的な企業でも取り入れられている「マインドフルネス」と「瞑想」。どちらの言葉にも興味がありつつも、「ちょっとハードルが高そう」と感じてしまっている人は、筆者を含め、世に多いのではないだろうか。

 そんな方々にぜひおすすめしたい1冊が、『ずぼら瞑想』(川野泰周/幻冬舎)だ。著者は精神科・心療内科医でありながら、横浜の禅寺の住職でもあるという珍しい肩書の持ち主。禅僧として時に瞑想を勧め、医師としてマインドフルネスの指導をする事もあるという。そんな本書では、マインドフルネスの概念も紹介しながら、オフィスや家庭、通勤電車の中など、日常生活の各シーンで気軽に実践できる、33のユニークな瞑想ばかりが紹介されている。実践するハードルがとても低くしてあるのが大きな特徴だ。

 タイトルの“ずぼら”には、「瞑想は気軽にやれば良いよ」という著者からの優しいメッセージが込められているし、東西伝統の宗教と最新の科学の相対する両方からのアプローチも興味深い。

 そもそもマインドフルネスや瞑想にはどんな効果があるのだろうか。瞑想とは「脳の休息」であり、脳の疲れをとって休ませることだと著者は言う。

 脳の疲れなど自覚しにくいが、著書によれば、心がモヤモヤ、イライラしたり、何となく身体の疲れや不調を感じたりするのは、脳の疲れが原因であることが多いそうだ。近年の研究では、脳の疲れをとれば集中力や判断力、ストレスの耐性が上がりビジネスにも有効であることや、人間関係にも良い影響がある事などが実証されていると、本書は明かす。

 では実際に本書で紹介されている“ずぼら瞑想”を紹介してみよう。

■好きな食べ物を食べるだけ「おやつ瞑想」

 著者オススメの「おやつ瞑想」は「ナッツ」を使うこと。ナッツを口に入れたら、すぐには噛まず、舐めるだけにする。10秒間ほど、ナッツ表面の味や香りだけを味わってみる。すぐに噛みたくてたまらなくなってもぐっと我慢する。ナッツ表面の塩味がなくなったら、噛みしめる。すると「ああ、やっと食べられたという喜びを心から感じられます。食べ慣れているナッツが、こんなに美味しいものだったかと、びっくりするはずです」と著者は記す。ナッツ以外でもOKだがナッツがオススメなのには理由がある。

「ナッツには幸せホルモンと呼ばれる『セロトニン』の原料になる物質トリプトファンが豊富に含まれており、心の健康につながります」。(本書より引用)

 このように、「おやつを食べる」といった行動や事象に対して、じっくりと意識を集中して観察することが「マインドフルネス」で、「瞑想」はそのためのアプローチ方法のひとつなのだそうだ。

 この他にも、最速の「ひと息瞑想」「歯磨き瞑想」「キャベツの千切り瞑想」「満員電車のつり革瞑想」など、これでいいの?と驚くような瞑想法が紹介されているが、「ポイントを押さえれば、生活のあらゆる所作が瞑想になる」と著者は言う。

 たとえば、毎日の歯磨きも1本1本の歯に意識を向けて隅から隅までゆっくりと磨けば、「歯磨き瞑想」の時間に変えられる。そのポイントはシャカシャカしたブラシの音やリズム、ブラシの先が歯にあたる感触、そして口をゆすぐときの水の冷たさや洗面台の香りまでも感じとりながら、ただひたすらに歯を磨くこと。「無心に歯を磨いていると、気持ちまですっきりときれいになった気がしてくるから不思議です」と著者は述べる。

 パソコンやスマホの登場で疲れ果てている現代人の脳。お気に入りの瞑想を見つけて“ずぼら”にやるくらいの軽い気持ちで良いらしい。1日1分でも疲れた脳を休ませてあげたいものだ。

文=平野世津子