心が強い人の「勘違い力」――「自信がない」を克服する練習

暮らし

2018/7/11

『神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り』(星渉/KADOKAWA)

 夢や願望があるのに、行動に移せないという人は多い。チャレンジを躊躇する理由は、多くの場合、自信がないことにある。また、安定を求めて、チャレンジを避ける人も少なくない。しかし、自信とは自ら作り出すことができるものだし、安定を求めてチャレンジしない姿勢は、結局、不安定な日常を呼び込んでしまう。『神メンタル「心が強い人」の人生は思い通り』の著者・星渉氏は、「できる」を積み重ねることで、すべては解決すると断言する。

 やってみたいことやチャレンジしたいことがあるのに、自信がないから最初の一歩を踏み出せないという人は大勢いるはずです。そして、それは日本人特有の意識がそうさせているのかもしれません。

 内閣府が発表した「平成25年度 我が国と諸外国の若者の意識に関する調査(日本、韓国、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの満13~29歳の男女、各国とも1000人を対象)」では、「自分自身に満足しているか」という問いに対して「YES」と答えた人の割合が、他の6ヵ国の平均が79.8%だったのに対して、日本は45.8%と著しく低い割合になっています。

 同じ調査では、次のような注目すべき調査結果もあります。「うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組むか」という質問に対して「YES」と答えた人の割合が、他の6ヵ国の平均が77.2%に対して、日本は52.2%だったのです。

 日本人は、自分自身に満足できない人の割合や、うまくいくかわからないことには積極的に取り組まない人の割合が、諸外国よりも多いのですが、これらのことは「自信のなさ」と密接に関連しています。

 ところで、「自信」とは先天的なものでしょうか? 自信を持たずに生まれたら、自信がないままに一生を送ることになるのでしょうか? もちろん、そんなことはありません。自信は、後天的に作り出すことができます。自信を作り出すことができれば、自分自身に満足できるようになるし、うまくいくかわからないことにも意欲的に取り組むことができるようになるのです。

■タスクを書き出して「できた」を認識する

 自信の生まれ方には2種類あります。

 1つ目は、自分でやろうと決めたことが「できた」という経験をしたときです。ここで重要なのは「(できた物事の)大小を問わない」ということです。どんなことでも、どんな些細なことでも、自分でやると決めたことが「できた」という経験を積み重ねることで、自信が生まれます。

 自分で決めたことを自分で「できた」と認識することがポイントです。たとえば、誰かに電話をする、誰かにメールを送る、何かの予約を取るといった些細なことでも、「自分でやろうと決めたことができた」と認識すること。そうすることで、「自分はできる」と実感できる感覚、つまり自分の能力に対する評価である「自己効力感」を得ることができます。この自己効力感こそが、自信となるのです。

 自分で決めたことを「できた」と認識するためには、普段から細かくタスクを書き出して、できたら(タスクが完了したら)、「できた!」と声に出して、そのタスクを棒線で消す、という方法が効果的です。

 2つ目の自信の生まれ方は、次のような過程を経ます。

○できることが増えて自分を好きになる
 ↓
○自分を知る
  ↓
○自分を愛する
  ↓
○自分の未来を描く

「できた」という経験を繰り返し、「できること」が増えていくと、人は自分のことを好きになります。できることが増えれば増えるだけ、自分のことが好きになり、自分自身に対して興味を持ちようになります。これが、自分の性格、適性、強み、欠点などを把握する、「自分を知る」という段階です。

 自分のことを知る過程では、自分のプラス部分もマイナス部分も、両方が見えてきます。この自分の特徴を分け隔てなく受け入れると、「自分を愛する」という段階に移行します。

 そして、自分を愛する状態で描いた未来に対し、「自分なら実現できるはずだ」と思えるとき、自信が生まれるのです。

 自己効力感によって生まれる1つ目の自信を「一次自信」とし、未来を描く2つ目の自信を「二次自信」とするのであれば、二次自信は、一次自信によるしっかりした自己効力感の土台がないと、たどり着くことはできません。

 言い換えるなら、「できた」を積み重ねることによって、未来が描けるのです。そして、自分の未来を描くことができれば、すなわち、二次自信を作り出すことができれば、実現のために必要な行動を躊躇なく、意欲的にできるようになるでしょう。

 自分の目標を実現するための自信は、自分で作り上げることができるのです。

■3種類の欲求感情が満たされて安心は得られる

 目標の実現には自ずと困難も伴います。不安や緊張、自信のなさ、焦り、挫折感といった数々の負の感情を味わうくらいなら、何かにチャレンジせずに、ずっと安定していたいと考える人もいることでしょう。

 しかし、安定して暮らすことがそのまま「本当の安心」につながるかというと、実はそうではありません。最初はいいのですが、次第にその変化のない毎日に不満を抱く感覚になってきます。

 何の変化も刺激もない毎日は、たしかに安定していて、安心できるように思えます。しかし、やがて同じことの繰り返しに「本当に自分はこれでいいのかな?」という疑問を持ち、場合によっては「いつまでこんな状況が続くのだろう」と、自分の現状に生きにくささえ感じることになります。

 さらに、安定を「いつまでも今が続くこと」と捉えて過ごしてしまうと、日々、変化していく世の中から置いていかれることになります。インターネットの普及やAIの進化などによって、時代の変化は急速になっていますから、気がついたときには、安定していたはずの日常が奪われているということにもなりかねません。

 では、「本当の安心」とは、どのようにしたら感じることができるのでしょう?

 本当の安心は、「安心」を含めた4種類ある欲求感情のうち、「安心」以外の3種類が満たされたときに、初めて感じることができます。

 4種類の欲求感情とは、「承認」「挑戦」「つながり」「安心」です。

「承認」とは、自分自身が人からも自分自身からも認められる存在であると実感したいという感情です。「挑戦」とは、何か自分がワクワクすることにチャレンジしたいという感情や、チャレンジしていてワクワクしているという感情です。「つながり」とは、馴れ合いの付き合いではなく、自分が幸せを実感できたり、成長を実感できたりする人と付き合いたいという感情です。

 この「承認」「挑戦」「つながり」という3つの感情が満たされたときに、人は本当の「安心」を感じることができます。

 自分で自分のことを認めることができていて、ワクワクすることにチャレンジしていて、そこには充実感や幸福感を共有できる家族や仲間が存在しているとき、人は「安心」を得られるのです。つまり、「本当の安心」とは、「安定すること」ではないのです。

■折れない心は「反射」から生まれる

 安心を得るためには、チャレンジが不可欠です。ところが、行動を起こし、自分自身の変化が始まると、途中で「心が折れるような出来事」に見舞われることもあります。

 たとえば、会社員の場合、勤務時間以外を私的なチャレンジの行動に費やしていれば、「最近、付き合いが悪くなった」「会社内の人間関係など無視しているのだろう」といった陰口や悪口が聞こえてくることもあるでしょう。

 そんなときに、心が折れて、行動を放棄する人が多いのです。裏を返せば、心が折れるような出来事を乗り越えて行動を続けている人こそが、自分が実現したいことを実現しているのです。

 では、実現に向けて行動し続ける「折れない心=神メンタル」を持っている人は、普通の人といったい何が違うのでしょうか?

 普通の人と「神メンタル」を持つ人の違い。それは「反射」の違いです。

「反射」という言葉を辞書でひくと、「刺激に対して意識することなく、機会的に起こる身体の反応」と書いてあります。重要なのは「意識することなく、機械的に」という点です。

「神メンタル」を持っている人は、心そのものを鍛えているのではなく、物事に対して「反射」しているのです。自分の身に起きた出来事は、よい出来事でも、悪い出来事でも、「反射的に」、つまり「意識することなく、機械的に」、「よい出来事」として捉えるのです。

 たとえば、「最近、付き合いが悪くなった」と言われても、「神メンタル」を持っている人は、落ち込んだり、怒ったりすることはありません。意識することなく、機械的に、「それはラッキー!」「ありがとう」と反射しているのです。

 陰口や悪口を言われたときに、「ラッキー!」や「ありがとう」と思えるというのは、普通の人にとっては理解の難しいことでしょう。しかし、ここが大きなポイントであり、「神メンタル」の持ち主は、実際にそんな反射をしているのです。

 心が強い人は、どんな出来事が起きても、肯定的に捉えられるように反射し、自動的にその出来事の「ラッキーな部分」「ツイてる部分」「感謝すべき部分」を探し始めます。

 そして、そうした反射を可能にしているのは、圧倒的な自信です。すなわち、「神メンタル」は、小さな「できた」の積み重ねによって作られるのです。

著者紹介
星 渉(ほし わたる)

1983年仙台市生まれ。大手企業で働いていたが、東日本大震災に岩手県で被災。生死を問われる経験を経て「もう自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め、2011年に独立起業し、心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学び始める。それが原点となり、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」を中心に置いた独自の手法を構築。「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」ための活動をしている。