絵本界で注目の新キャラ「シバいぬのロッキーくん」と家族の物語

文芸・カルチャー

2018/8/11

『ロッキーくんとおかあちゃん』
(しまげ/白泉社)

 アンパンマン、おさるのジョージ、ミッフィー、バムとケロ…子どもから大人まで変わらぬ人気を集める個性豊かなキャラクターたち。彼らのふるさとである「絵本」からは、新しい魅力的なキャラクターたちが続々登場しています。そんな絵本界で今注目の新キャラといえば「シバいぬのロッキーくん」。2017年「第6回MOE創作絵本大賞グランプリ」を受賞した、しまげさんの絵本『ロッキーくんとおかあちゃん(※)』(白泉社)の主人公です。

 子犬のときに拾われ、人間のお母ちゃんとお父ちゃんと親子のように暮らしているシバいぬのロッキーくんは、家族と和やかにかわす会話がなんと「関西弁」。2本足で元気に動きまくり、うれしいときはとびっきり喜ぶ、天真爛漫な人懐っこい魅力に溢れています。

 ある日、やさしいお姉ちゃんのめぐちゃんが赤ちゃんを連れて、1日だけ久しぶりに家に帰ってくることに。楽しみに待っていたのに、お母ちゃんもめぐちゃんも赤ちゃんに構いっきりで、ロッキーくんはすっかりさみしくなってしまいます。でも、赤ちゃんのとびっきりの笑顔を見たら、なんだかとってもかわいい!うれしくなったロッキーくんは、「ちいさなお兄ちゃん」として赤ちゃんと思いっきり一日中遊びたおし…。赤ちゃんにお母ちゃんもめぐちゃんも取られてしまって、落ち込むロッキーくんのせつない後ろ姿、赤ちゃんに自分のおもちゃをあげたり遊びを教えてあげたり大奮闘する姿…どのページをめくっても表情豊かでどこかユーモラスなロッキーくんに、思わず笑顔になってしまいます。

 でも、楽しい時間はいつまでも続きません。お別れの時間はロッキーくんもお母ちゃんもしんみり。だけど、ちょっとだけ「おにいちゃん」になったロッキーくんは、ちゃんと泣かずに笑顔でお見送りをしたのでした…。ほんとはとってもさみしいのに、がんばって耐えるロッキーくんの姿は、なんだか人間の小さな男の子が無理して強がっているように見えてくるから不思議。「こんな姿、うちの子にもあったわ…」なんて方もいるかもしれません。

 面白いのは、おはなしに描かれているのはどこにでもありそうな家族の風景だということ。普段のなにげない幸せも、素直でまっすぐなロッキーくんと一緒なら、みんな「かけがえのない宝物」になってしまうのです。まるで人間の親子のような温かなつながりも、ぺットと暮らした経験のある人には身近な感覚かも。あっけらかんとした関西弁の響きも心地よく、笑って泣いてほっこり。ロッキーくんみたいな子、一緒に暮らしたら絶対楽しい!

文=荒井理恵

(※)受賞時のタイトルは、『いぬのおにいちゃん』