【警察官のリアルな姿】おまわりさんは交番でどう過ごしているの? 結婚率が高いって本当?

社会

2018/9/17

『警察官白書(新潮新書)』(古野まほろ/新潮社)

 警察官の活躍を描いた作品はアニメやドラマ、映画、小説と多岐にわたり山ほどあります。実社会でも事件解決に尽力する一方で、不倫、わいせつ、殺傷など不祥事を起こして注目されることも少なくありません。しかし、さまざまなシーンで多く目にする存在でありながら意外とその実像が明らかにされていないのが“警察官”です。実際に警察官たちはどんな仕事をして、どんな生活を送っているのか、気になりませんか。

 一般の人がなかなか知る機会がない警察官の仕事の知られざる実態やリアルな姿を覗き見ることができる本があります。階級や刑事になるための条件、給料、勤務時間、具体的な仕事内容のほか、職務質問や逮捕の要件といった裏事情まで知ることができる『警察官白書(新潮新書)』(古野まほろ/新潮社)です。本書では警察官たちの結婚事情や家庭生活といったプライベートな内情まで明かされています。

 著者は警察署、警察本部、海外、警察庁などの勤務を経て、警察大学校で主任教授として勤め上げた元警察官。現役時代の知識や経験から典型的なリアル警察官像を本書で明らかにしています。

 もちろん性格などは警察官でも人によって異なりますが、いわゆるステレオタイプは存在します。そして、警察官内部の人が持つ警察官像は一般の人が持つ警察官像とは少し違う点もあるようです。

 本書ではリアルなステレオタイプを部門や専門別に分けて詳しく紹介しています。交番や刑事部門、交通、公安などにおける仕事の内容をただ淡々と難しい専門用語で解説しているのではなく、各分野の仕事の特徴を擬人化し、ひとりの警察官として紹介しているため、小説の登場人物紹介を読んでいるように身近に感じながら知ることができるのです。

 たとえば、一般の人にとって一番近い存在である“交番のおまわりさん”。警察官の約40%を占める交番のおまわりさんを本書では“警察太郎さん”と呼んでいますが、太郎さんに自由意志はなく、パトロールや立番など「決められたこと」を実行することが仕事といいます。

 また、太郎さんは24時間勤務の中で交番の前に立つ合間に食事を取り、事件や事故で叩き起こされない限りは4時間の睡眠や食後の仮眠などを取って体力を温存しているようです。「交番の前を通ると、いつもおまわりさんの姿を見かけないけど…」という時は、時間割で決められたパトロールタイムや平和な街ゆえの仮眠中かもしれませんね。

 ただし、仕事中にも仮眠を取っていることを知り、「平和な街のおまわりさんは楽そうだな」と思ったら大間違いです。本書ではおまわりさんの仕事の大変さも明かしています。

 仕事中は常に警戒し、ストレスフルな生活です。公的な部門への予算が少ないため交番はおおむね狭いのとのこと。古い交番では狭い和式トイレで汚れないように気遣いながら用をたすといいます。2階や奥の部屋がない小さな駅前交番などではスチールデスクの上に布団を敷いて寝なければいけないこともあるようです。交代で休む布団や枕は自分専用のものなどなく共用だといいます。人間関係においては2人以上のチーム制で寝泊まりするため、交番によって和気あいあいとしていることもあればお通夜や冷戦のようなところもあるようです。

 ハードな日々を送る警察官ですが意外にも結婚率は高いようです。結婚するかしないかは個人の自由ではあるものの、警察では

「ある程度の年齢になって所帯を固めていないのは、警察官として望ましくない」

という部内文化があるとのこと。犯罪に絡んだハニートラップにかかりやすくなるとか、風俗に走りやすくなってしまうとか、仕事への行き詰まりによる自殺のリスクが高まるとか、ある程度の年齢で未婚だと痛くもない腹を探られるといった面倒な事情があるようです。公務員として将来設計しやすいなどの事情に加えて、そんなリアルな背景もあり、一般社会と比べると結婚率が高いようだと著者はいいます。

 本書で紹介されているのは元警察官だからこそ知るリアルな姿ばかり。実際の警察の実態を知ることで今後、警察官が登場する作品をさらに楽しめるようになることでしょう。また、警察官による不祥事のニュースを見た時に事件の裏に隠されているかもしれない内々の事情を感じとれるようになるかもしれませんよ。

文=Chika Samon