パパも思わずニッコリ!YouTubeでも大反響、イヤイヤ期だけどかわいい日常が絵本に

出産・子育て

公開日:2018/10/10

 おきがえしたいけど靴がどうしても逆になって…うわーん! おふろはイヤだけどママと追いかけっこしたら…楽しくなっちゃった! そんなイヤイヤ期の困っちゃうけどかわいいエピソードがつめ込まれた絵本『やだもんやだもん にこちゃんやー』『やるもんやるもん にこちゃんがやる!』が刊行され、「うちの子と一緒!」と子育て世代を中心に反響を呼んでいる。

『やだもんやだもん にこちゃんやー』(原あいみ:絵、ケロポンズ:文/ポプラ社)
『やるもんやるもん にこちゃんがやる!』(原あいみ:絵、ケロポンズ:文/ポプラ社)

 これらの本は、イヤイヤ期の子どもたちやパパママ、その周りの人たちを応援するためにポプラ社が始動した「おにのこ にこちゃん」プロジェクトの絵本第一弾。現役ママクリエイターとして知られる原あいみさんが作画を、『エビカニクス』などで人気のケロポンズがストーリーを手がけている。YouTubeで配信された動画『にこちゃん たいそう』は、わずか1週間で再生数2万回越え! 先日行われたイベントでは、普段は恥ずかしがるパパもニッコリ、会場にいる全員が笑顔になるという奇跡の空間を生み、その様子はめざましテレビでも放映された。絶大な存在感ですでに多くの人を巻き込んでいる「にこちゃん」というキャラクターは、どんな背景から誕生したのだろうか?

【9月17日に開催されたファミリーイベントは、大盛況!】

 原さんによると、「おにのこ にこちゃん」の誕生には、娘さんの存在が大きく関わったという。「イヤイヤ期真っ盛りの娘を見ていたら“鬼の子”に見えてきて。かわいいけど、急いでいるときにイヤイヤされるとやっぱり大変(笑)」。にこちゃんの服装など、細かな設定にもこだわりがある。「動画とあわせて、保育園などのイベントで広がることを意識して、子どもが真似しやすい服装に。長く愛される子になってほしいから、髪型は昭和のイメージでおかっぱです!」(原さん)。

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【ご自身も子育て中のイラストレーター、原あいみさん】

 そして、どんな親子にも当てはまりそうな“あるある”は、ケロポンズの幼少時や、幼稚園に勤めていた時の経験がもとになった。「私の幼い頃が、まさに、にこちゃん。『ダメ!』って言われた後にまたイヤって言ってしまう、あのしびれるような感覚を今でも覚えてます。でも、幼稚園で子どもと接していく中で、靴下ひとつ履くにしても、成長のチャンスを奪ってはいけないことを知って。子どもたちは、今やろうとしていることはダメじゃないし、みんなこういうことあるよね!って思いながら大きくなってほしい」(ポンちゃん)。「言葉にリズム感をつけているので、おうちのみんなでノリノリで読んで、笑ってほしい。つらい時は親子で『やー!』と言って発散してもいいですよね」(ケロちゃん)。

【保育の現場を知るケロポンズのおふたりも、イヤイヤ期の親子を応援】

 イヤイヤ期の絵本といっても、しつけ本ではなく、どこにでもある日常を描きながらも、読み進めるたびに笑ってしまうドラマがある。今までにはないタイプの本であることも特徴だ。「泣き笑いしながらワーッとなっている娘を見ていたら、なんて面白いんだろうと思えてきて。あ、大丈夫かも、だったら楽しんでいこう!と。にこちゃんにとっては、なんでもない毎日が大冒険なんです」と、原さん。そんな毎日が、親にとっても、かけがえのない思い出となっていく。「大変だけど、愛おしい。娘を育てているこの時間をいつまでも忘れたくない。そんな想いも込めました」。

 また、編集部に届いている子どもたちの反応には、驚くものが多かったという。「『やー!』っていうにこちゃんを見て、“自分のことかな?”と心が揺れるようです。名前を変えたらまるで自分の本! でも、“にこちゃんみたいにヤダなんて言わない!”って認めない時もあるようで。微妙な友だち関係、とでもいいますか(笑)。思ってもみない反応でした」(ポプラ社、編集担当者)。しつけ本ではなく、楽しむだけでもなく、親子それぞれの想いを反映できる絵本。子どもが成長した後に親子でもう一度読み返し、思い出を語り合うのも良さそうだ。

 編集担当者によると、この本には「“あるある”を超えた共感を目指したい」という大きな野望もあるそうだ。「決して子育てしやすいとは言えない環境のなか、大変な思いをしながら頑張っているパパママを応援したい。同時に、周りの人にも笑顔になってほしいんです。子どもの泣き声に眉をひそめている大人たちも、子どもの頃はみんな、にこちゃんだったんです(笑)」。日本の子育て環境がより良く変わるためにも、まだ始まったばかりのこのプロジェクトがますます広がっていくことを願っている。

文=吉田有希 撮影=内海裕之