元・最凶ヤクザが専業主夫に…!「極道とは…主夫の道にあり」!?

アニメ・マンガ

2018/10/20

『極主夫道』(おおのこうすけ/新潮社)

“シュフ”の仕事は大変だ。掃除に洗濯に料理。子供がいれば「子育て」も追加される。

 もちろんそれだけではなく、家族の栄養を考えたバランスの良い食事を研究したり、スーパーの特売日を把握したり、親戚付き合いや近所付き合い、食材や日用品の在庫管理……等々、きちんとやろうとすれば、その仕事に終わりはない。

「専業主婦」「専業主夫」共にその苦労は同じだと思うのだが、パートナーに実態を理解してもらうのは中々難しい……と、ため息をついたことはないだろうか?

 おおのこうすけの『極主夫道』(新潮社)は、数々の伝説を残した最凶ヤクザが、キャリアウーマンの奥さんを支えるべく「専業主夫」としての日常を真剣に送るマンガだ。

 主人公は、一晩に単身丸腰で抗争相手の事務所を10ヵ所潰したと言われている伝説のヤクザ・通称“不死身の龍(たつ)”。

 現在はヤクザから足を洗い、デザイナーの奥さんを支えるため、お弁当作りや家の掃除、近所付き合い、お菓子作りまでを完璧にこなす「主夫」なのだが、どうもその外見と振る舞いからは、ヤクザ時代の形跡が垣間見える。

 柴犬のイラストのエプロンを付けているものの、背中には立派な龍の彫りものがあり、その上にはダークスーツを着用し、刀傷が入った顔にサングラスをかけているため、貫禄もたっぷりなのだが、振る舞いもまた然り、なのである。

 例えば、妻の美久の誕生日。部屋には「八幡大菩薩」「天照皇大神」「春日大明神」の掛け軸をかけ、祭壇も設置する徹底ぶり。しかし、ネームプレート入りのケーキや、彼女が好きな人気アニメのブルーレイBOXをプレゼントする様子にはほっこりさせられる。

 だが、ブルーレイがすでに彼女が持っているものだと判明するや否や「けじめぇえ」と小指をつめようとするのだ……! 呆気に取られてしまった。

 また、近所の子供を預かることになった龍。怖がる少年に「甘~いのいらんか?」と、可愛い手作りクッキーを与え、感動させる。

 だが、テレビゲームが得意だという少年と共に楽しむゲームが、「半か丁か」「ピンゾロ」「ポン」などの声が響き渡る賭博ばかりだったのは、思わず笑ってしまった。

 龍は、外見と行動は多少怖い面があるものの、家事と家族を守ることに関しては、とても真摯に向き合っている。ポイントカードとクーポンを常に持参する買い物や、バーゲンセールに駆け込む姿、魚のすり身のハンバーグを手作りして食べさせ、詐欺師の心まで懐柔する姿は、まさに主夫の鑑であった。

 ヤクザの世界に戻ってほしいと後輩に懇願されても、

「俺はもう足を洗った 今は専業主夫や 俺は俺のやり方で家族(シマ)を守っとる 暴力では大切なもんは守れへん」

 ときっぱり断る。

「主夫舐めとったらあかんぞ」と、度々鋭い目つきで外野を威嚇する様子からも、自分の仕事に責任と誇りを持つ様子が感じられ、主婦の筆者もなんだか励まされてしまった。

 ヤクザ時代の後輩に「極道とは…主夫の道にあり」と言わせるほどの龍の仕事ぶり。どうか彼の肝の据わった徹底した「主夫」ぶりを多くの人に見てもらいたいと思う。そして、龍の怖さと優しさのギャップを心ゆくまで堪能してほしい。

文=さゆ