MoMAで開発された対話型アート鑑賞法とは? 話題の芸術鑑賞でビジネススキルもアップ!

ビジネス

2018/10/24

『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?』(岡崎大輔/SBクリエイティブ)

 世界のエリートたちが、人生や仕事で役立つ能力を伸ばすために注目しているのは「美術鑑賞」を行うことだそうです。これからの時代に役に立つ「アート鑑賞法」を教えてくれる1冊が『なぜ、世界のエリートはどんなに忙しくても美術館に行くのか?』(岡崎大輔/SBクリエイティブ)です。岡崎大輔氏は京都造形芸術大学アート・コミュニケーション研究センター専任講師であり、アート・コミュニケーションプロジェクトを企業内人材育成・組織開発に応用する取り組みを行っています。

 本書で紹介する美術鑑賞法「ACOP/エイコップ(Art Communication Project)」は、MoMA(ニューヨーク近代美術館)で開発されたVTS(ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ ニューヨーク)という美術鑑賞メソッドを源流にしたものだそうです。

 VTSで行うのは、グループで1つアート作品を見ながら意見を交換し合う「対話型鑑賞法」です。「大きな特徴は、鑑賞中に作品名や作者名、解説文などの情報を用いないこと。そして1つの作品を10分以上、純粋に作品を見ることに費やすこと」。作品の背景を問わないことで鑑賞の自由度をよりあげようというのが狙いであり、VTSが大切にしているのは、作品を見て自分が何を感じ、何を考えるかということだそう。

 この鑑賞メソッドを用いることで、美術への造詣が深くなるのはもちろん、観察力、批判的思考力、言語能力なども伸ばす効果があることが、米国の小学校で実証されており、人生全般において役立つ能力として、世界各国の教育現場やグローバル企業の研修に採用されているということです。

 ACOPでは特に、「見る・考える・話す・聴く」のサイクルを途切れさせないようにして鑑賞を深めていきます。グループで1つのアート作品を見ながら、それぞれの発見や感想、疑問などを話し合うことで、1人では気づかない見方や視点を発見し、多面的に鑑賞することができるといいます。鑑賞の相乗効果が起こるのだそうです。

 本書では、どのようにアートを鑑賞すればよいのかを、岡崎氏をファシリテーターとした実際のワークショップの会話を例に、8つのポイントを挙げて順に解説しています。掲載されたアート作品を見ながら、参加したつもりで一緒に鑑賞してみましょう。

 著者は、アート作品を鑑賞することは、「正解がない問いに主体的に取り組み、自分なりに答えを導き出すという行為でもある」と述べます。本書では、忙しくて美術館に行く時間がない方が優れたアートを鑑賞する方法や、ひとりで対話型鑑賞法を行う方法も紹介しています。

 アートとはラテン語のars(アルス=生きる)を語源としている言葉だそうです。AI化、グローバル化が進み、「先行き不透明」といわれる時代だからこそ、「生きる力を育む」アートの鑑賞法を、本書で体感してみませんか?

文=泉ゆりこ