声がいい人は免疫力が高いってホント? 動物行動学でわかる“残酷な現実”

スポーツ・科学

2018/10/31

『人間と遺伝子の本当の話 ウソばっかり!』(竹内久美子/ワニブックス)

 女性がイケメンに恋をする。至極当たり前の現象だが、その理由を聞かれるとこんな答えしか出ないはずだ。「イケメンだから」。当たり前だが、答えではない。

 昨今注目されている“毒親”という存在。子どもを不幸にする親との悲しいエピソードや正しい付き合い方など、様々なメディアで取り上げられ話題をさらっている。しかし“なぜ存在するのか?”という部分まで掘り下げたものは少ないだろう。

『人間と遺伝子の本当の話 ウソばっかり!』(竹内久美子/ワニブックス)は、こういった「なんとなく分かっているつもりだったけど、よくよく考えると分からない」問題を、深く掘り下げ、科学的根拠に基づいて解明・解説している。著者は、京都大学大学院で博士課程を経て著述業に転身した竹内久美子さん。

 本書より、ちょっと残酷な現実をいくつかご紹介したい。

■なぜ人は一目惚れをするのか?

 一目会っただけでその人を好きになってしまう一目惚れ。なぜこのような現象が起きるのだろうか。

 動物行動学や進化論の分野では、ルックスの良さは免疫力の高さを示している。たとえばツバメのメスは、尾羽の両端がひときわ太く長く伸びていることを、オス選びの基準にしている。免疫力の高いオスほどそれが顕著に表れ、ダニなどにやられたオスは免疫力が乏しいのだそうだ。

 人間も同様で、顔の良さやケンカの強さ、体臭など、外に表れる様々な魅力と免疫力には相関がある。女性がイケメンを好む理由は、免疫力の高さを見抜いているということだ。

 ちなみにいい声の人は、身体がシンメトリー(左右対称)な傾向にあり、免疫力が高いそうだ。幼い頃に病気を繰り返すと、発育がどうしてもちぐはぐになる。一方、病気の少ない人は順調に成長するので、身体がしっかり育つ。それが声に表れる。

 つまりイケメンでいい声の人と結ばれると、丈夫で健康な子どもを育てられる……かもしれない(浮気の可能性は別)。一方、「見た目より性格だ!」と豪語する男性は、「俺は免疫力が低い!」と認めているも同然……なのかも(できればウソであってほしい)。

■毒親は遺伝子に従う動物本来の姿?

 親であることの権威を振りかざし、子どもを過剰に支配する毒親。そのエピソードは数知れず、ダ・ヴィンチニュースでも様々取り上げている。しかしなぜ彼らは子どもたちの人生に介入するのだろうか。

 そもそも子どもは、親の遺伝子のコピーを受け継ぐ存在。そして生物は、遺伝子のコピーをいかに次の世代へ受け渡していくか、という論理で生きる。つまり親が子どもの行動を操り、自身の遺伝子のコピーを最大限活かして、その次の世代へ残そうとするのは当然の行いだ。

 悲しいことに毒親は、生物の宿命、遺伝子のいいなりになっていたのだ。

 また、彼らのやることは残虐非道だが、幼少期の頃からいくつも習い事をさせたり、必要以上に干渉したりすることで、著名な女優や小説家、歌手など、一部の毒親たちは素晴らしい子どもを育て上げている。非常に残念だが、ある種の成功体験となっているかもしれない。

 本書はこの他にも、「なぜ赤ちゃんは可愛いの?」「なぜあえぎ声のやたら大きい女がいるの?」「なぜ血管の浮き出ている腕に男らしさを感じるの?」など、当たり前の疑問を科学的に解明・解説している。

 本書にはちょっと残酷な真実がいくつも並ぶが、すべては動物行動学の見地から解き明かしたものであり、読み終えたときには納得してしまうものばかり。本書を読むほど、人間がいかにニンゲンという生物を理解していないか、まざまざと痛感させられる。

文=いのうえゆきひろ