インスタで“妄想上の彼氏”とのリア充アピール? 300歳の“こじらせ魔女”の日常

マンガ

更新日:2018/11/26

『魔女は三百路から』(原田重光:原作、松本救助:作画/白泉社)

 恋愛は、一度遠のくと臆病になってしまい、なかなか踏み出せなくなってしまうもの。さらに、年齢を重ねていくと、若いころほど恋愛にエネルギーを割けなくなったり、ひとりでいるのが“楽”になってしまったり…。そんなすっかり恋愛には縁遠くなってしまった女性たちにおすすめしたいのが『魔女は三百路から』(原田重光:原作、松本救助:作画/白泉社)だ。

 主人公・黒川御影(みかげ)は、“おひとり様”の30…ではなく、300歳! 彼女は、なんと三百路(みおじ)の魔女なのだ。100代、200代のころは派手に遊んでいたものの、今ではインスタで“妄想上の彼氏”とのリア充アピールを投稿する毎日。…完全にこじらせてしまっている(笑)。

 オフィスでは「女として枯れてる」と噂されている彼女だが、ある日運命の相手(?)に出会う。なんと、会社に“妄想上の彼氏”そっくりの新入社員・小林悟(22)が現れたのだ。黒川さんは、突然のことに舞い上がりながらも、「でも278歳も年下だし…」と乙女らしく悩む。それでも、「恋に年の差なんて関係ない」「魔女は三百路からよ」と思い直し、悟をオトすために“媚薬”を作り始めるのだが…。

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 基本的には“アラサー女子あるある”的な黒川さんの日常を描く本作だが、ときには“300年生きた魔女”というファンタジー設定をフル活用したおバカな展開も(笑)。なんと、1巻の中盤で、実は悟が“ある歴史上の人物”の生まれ変わりであることが判明する。150年前、黒川さんが“月影の魔女”と呼ばれていたころ、彼と彼女は対立していたようなので…。そのことに気が付いた黒川さんは、悟にますます運命を感じるが、そう簡単にふたりの距離は縮まらない。

 黒川さんの日常は、女性から見れば“あるある”だが、男性目線でみればかわいくて仕方がないものでもある。ひとり部屋で妄想に浸っているときの満ち足りた表情や、悟のちょっとした言動にドキッとしてしまうところ、そしてがんばりが空回りしてしまって焦る姿…。1冊の中に、いろいろな黒川さんの魅力が詰まっている。巻末の予告によれば、次巻では「禁断のLive配信」をやるそうで、今から黒川さんのあわてふためく様子が楽しみだ。

文=中川 凌