母子家庭、男女差別、問題だらけの会社…厳しい現実から最高の人生をつくった人たち

生き方

公開日:2018/12/3

『最高の人生のつくり方』(高橋佳子/三宝出版)

「たとえどれほど厳しい現実があっても、人間には、そこから驚くべき可能性に満ちた人生を生み出す力がある」

 どんな境遇であれ、どんな災厄に出会おうとも誰もが「最高の人生」を引き出す機会を与えられていると説くのが本書『最高の人生のつくり方』(高橋佳子/三宝出版)である。著者高橋佳子氏は、人には与えられた使命があり、その使命を果たすことこそが「最高の人生」であるという。そして、その使命に気づくための生き方「魂の学」を提唱する。それは利己主義や快感主義(快か苦かだけで選択する生き方)を助長する目に見えるものだけで判断する人生を戒め、「目に見えないつながり」までをも受けとめる生き方のことである。

■「目に見えないつながり」を受けとめる

「目に見えないつながり」とは自分の肉体と心、そして魂とのつながりであると著者は述べる。

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人間の本質は永遠の生命を抱く魂の存在である。魂とは智慧を持つ意思のエネルギー。全ての魂は人生に目的と願いをもたせ、それを果たそうと成長と進化の道のりを歩んでいる。魂が肉体と出会うことで生まれてくるのが心である。魂の流れは人生に目的や願いをもたらし、日々を生きる必然を与えてくれる。何のために生きているか、何をめざして生きるのか、は魂の答えがあるからだ

 この魂・心・肉体の3つのつながりを意識したまなざしで現実を見ることこそが「与えられた使命」に気づく生き方なのである。

■「与えられた使命」=人生の青写真

 著者は人生をジグソーパズルに例え、それこそが「与えられた使命」を示す図柄だという。

一人ひとりの人生には本来そうなるべき姿“青写真”があり、それは無数の経験のピースを集めたジグソーパズルが示すひとつの絵にほかならない。その見えない図柄を読み解くとき、私たちの心に特別な感慨が訪れる。自分の使命“人生の青写真”の存在だ

 一人ひとりの経験がそれぞれの人生の青写真の図柄を描いていくのである。そしてその図柄を読み解くタイミングとは人生に訪れるさまざまな出来事「カオス」との遭遇であるという。

■現実である「カオス」こそ人生の分岐点

 著者は災厄であれ、好機であれ人生で出会う「カオス」から、その呼びかけを聴くことが重要な態度だという。

目の前の現実をカオスと捉えるとき、その現実は心と連動し、浸透し合うものに変貌する。だからこそ、カオスの兆しを読み、そこに響く呼びかけを受けとめることが必要だ。そこから“人生の青写真”具現の道が始まる。カオスは最高の人生へのスイッチにほかならない

 本書に紹介される東日本大震災の被災者は、仕事も家族や友人も失くすという人生の試練「カオス」の中で見えないつながりの実在を確信し、地元に貢献する政治家という使命を見出したという。

 他にも問題だらけの会社を立て直した社長、事故で片足を失うも競技人生を送る女性など「魂の学」の実践者の話からは本書が心のサプリメントなどではなく、自分の人生を高める方法論ということが読者にもお分かりいただけるであろう。

文=八田智明