エロさ大爆発‼ あだ名が「愛人」のJKと全力少年による『フラレガール』。2巻で思いもよらぬライバルが登場!

マンガ

更新日:2019/4/22

『フラレガール』(堤 翔/白泉社)

 幼少期からマリリン・モンローに似ていると言われ、一挙一動に無自覚な色気がだだ漏れる、あだ名が愛人の女子高生・赤坂響。『フラレガール』(堤 翔/白泉社)というタイトルにはおよそ似つかわしくないように見えるが、1巻早々「君の色気は胸焼けする」なんて強烈な文句でフラれてしまった彼女。派手すぎる外見と地味で謙虚な内面のギャップで苦しむ彼女の前に現れたのが、同級生の全力青春少年・青山大地だ。全力すぎて告白文句が「愛人になってください!」だったのは彼にとっても不覚だろうが、この裏表ないあけすけな姿勢がいいのである。

 おそらく「あなたの見た目なんて僕は気にしません」みたいな男では、響の心を射止められなかった。誰よりも色気に悩殺され、所かまわず鼻血を吹き出し、なんなら“物理的に溶ける”という奇態を習得してしまった彼は、響のすべてが好きなのだ。ありのままの自分を受け入れてほしい――それはともすると傲慢になりかねないあやうい願望なのだけど、でもやっぱり、いいも悪いもひっくるめて全部好きになってほしい。それは恋人に限ったことではなく、マウンティングや妙な駆け引きのないフラットな関係を大切な人とは築きたい。その大前提を惜しみなく描いたうえで、不器用な恋のときめきをこれでもかというほど本作は提供してくれる。相手が響となると、ちょっとしたハプニングもときめきにエロが加算され、大地が爆発するところまでがお約束。

 もはや漫才のように安定してきた2人だが…2巻では思いもよらぬライバルが登場し、響は初めての嫉妬を経験することに。もちろん大地に浮気心なんて微塵もなく、響もそのことは了解している。だけど彼のことが好きな女子が存在するというだけで落ち着かないというのは女性なら共感できるものだろう。しかもその子が自分とは真逆のちんまりしたかわいらしさをふりまき、自分の武器である巨乳もそなえ、さらに大地が憧れるバンドのヴォーカルとなれば、不安は増大するばかり。だがこの嫉妬を通じて、響もまた大地の“ありのまま”――かっこいいところも悪いところもひっくるめて全部好きだと再確認する。自分だけでなく相手のこともまるごと愛する。それこそが至上の恋の姿だ。

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 ほかにも、風邪を引いた大地のお見舞いや文化祭など、描かれる物語はどれもラブコメのお約束ばかりなのに、著者の手にかかるとすべて唯一無二のものに変わってしまうから不思議だ。優しい愛にあふれた世界で、大地も響も、そのまわりの友達みんなも、思いもよらぬ暴走を四方八方にしでかすから、笑ったりときめいたりと忙しく飽きる暇もない。

 とくにアクの強いのが響の親友・豆子。おもしろがるためには響を贄にしてでも全力を尽くす彼女が、ただでさえ多忙ですれ違っていた2人の障害となってたちはだかる――。続く3巻では、どんな手腕で笑いとときめきを描いてくれるのか、今から楽しみである。

文=立花もも

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