スクールカースト、いじめ、本音がいえない日々…苦しんでいる10代を救う青春小説

文芸・カルチャー

公開日:2018/12/27

『約束の花が咲くとき、僕がきみの光になる』(高倉かな/スターツ出版)

 真っ暗闇を歩き続けるような心細さの中で、叫びたくても声も出ない。そんな息苦しい日々に救いはあるのだろうか。小さな光でいい。歩む道を導いてくれるような光があれば、どれだけ救われるだろう。スクールカースト。いじめ。言いたいことの一つも言えない自分に嫌気がさす日々…。『約束の花が咲くとき、僕がきみの光になる』(高倉かな/スターツ出版)は、そんな生きづらい日々を送る10代に読んでほしい小説。憂鬱な日々を打開する勇気をもらえるような、温かい青春小説だ。

 主人公は、高校1年生の奈緒。彼女は、親友を傷つけてしまった事件をきっかけに突然声が出なくなってしまった。夏休みの間、田舎にあるおばあちゃんの家で療養していた奈緒は、ある日、虐待され傷ついた犬を保護し、トマと名付ける。獣医を志す青年・健太とともに、トマの看病をすることになる奈緒。次第に奈緒に心を開いていくトマ。飾らないまっすぐな態度で奈緒に接し、奈緒の支えとなる健太。2人と1匹を温かく見守るおばあちゃん。トマの回復とともに、奈緒の心も確かに快方へと向かっていく。

 奈緒は、ずっと罪悪感に苦しめられている。奈緒は、いじめが横行する残酷なスクールカーストの中で、親友を守ることができなかった。「どうしてあの時あんな行動をとってしまったか」と、親友を傷つけてしまった自分をずっと責め続けていた。だが、してしまった行動は取り消せなくても、いつだって人はやり直せる。ほんの少しの勇気で人は変わることができる。自分と向き合う覚悟ができた奈緒は、どんな決断を下すのだろうか。

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 療養する奈緒の周囲の人々は誰もが温かい。特に、健太の優しさには胸が熱くなる。奈緒は周りに気遣って、自分を押し殺してしまうタイプだが、健太は思ったことをなんでも口にしてしまうタイプ。一見、まったく違うふたりだが、奈緒にも健太にも、胸のうちに他人を思う優しい心がある。健太からの言葉に奈緒はどれだけ救われたことだろう。そして、その言葉は、友達付き合いに悩む10代にも響くに違いない。

「いつもそうなの。親に対しても友達に対しても、悪く思われるのが怖いから、言うべきことを言えなくて。全部自分のためなの。自分を守ることに必死ですごく弱い。こんな自分、すごく嫌い」

「本当に自分のためにしか生きてないヤツって、そういうことで悩まねぇと思う。だからなんつーか……。俺国語苦手で、うまく言えねーけどさ。お前はちゃんと、優しいんだと思うよ」

 本音が言えない、思った通りの行動がとれない、がんじがらめの日々の中で、どうしても勇気が出ない時、この本は、きっとあなたの救いとなる。暗闇に射す一筋の光のようなこの物語は、あなたの心も優しく癒してくれるだろう。

文=アサトーミナミ