「自殺サイト」の書き込みをもとに12人が集結――話題の映画『十二人の死にたい子どもたち』の原作を読者はこう読んだ!

文芸・カルチャー

2019/2/26

『十二人の死にたい子どもたち』(冲方丁/文藝春秋)

 杉咲花、新田真剣佑、北村匠海、高杉真宙、黒島結菜、橋本環奈…。今をときめく若手人気俳優がこんなにもたくさん出演するのだから、面白くならないわけがない。映画『十二人の死にたい子どもたち』が今大きな話題を呼んでいる。

 原作は、『マルドゥック・スクランブル』『天地明察』などの作品で知られる冲方丁氏の同名小説『十二人の死にたい子どもたち』(文藝春秋)。タイトルからして衝撃的だが、一体どのような物語が展開されるのだろうか。構想12年、直木賞候補作にもなった原作をまだ手にとっていないのならば、映画が話題を呼んでいる今こそ、読んでみるべきだろう。

 舞台は廃病院の密室。「自殺サイト」での書き込みをもとに12人の少年少女たちが集結した。

1:サトシ、2:ケンイチ、3:ミツエ、4:リョウコ、5:シンジロウ、6:メイコ、7:アンリ、8:タカヒロ、9:ノブオ、10:セイゴ、11:マイ、12:ユキ。

 初対面の彼らは、12人全員が揃い次第、この場ですぐに安楽死をする予定なのだが、彼らが集った部屋のベッドではすでに1人の少年が死んでいた。この場には12人しか集まらないはずなのに、死んでいるのは一体誰なのか。誰が彼を殺したのか。このままみんなで死んでしまえば、少年を殺害して集団自殺をした被疑者になってしまう。性格も価値観も死にたい理由もそれぞれ違う12人の少年少女たちは、謎の死体を前に、議論し、互いを観察し、状況から謎を推理していく。この集いの原則「全員一致」にのっとり、12人の子どもたちは多数決を取ろうとするのだが…。初めて人とぶつかり、対話していくなかで彼らが出す結論とは。そして、この集いの本当の目的とは一体何なのか。

 原作本を読んだ読書家たちはこんな感想を読書メーターに投稿している。

面白かった。ホントこの人丁寧に文章とプロット作るなあ。12人いるキャラクター全てをわかりやすく書きつつ、先の読ませない展開は素晴らしい。(湊)

「12人」という数字は、絶妙だなと感じた。この本を読んだ人は、あの12人の子供たちの誰かに当てはまる。そのまんまこの子、という人もいれば、この子のこの考えは分かる、と部分的に共感できる人もいるはず。とにかくわたしは、終始メイコに苛立った。それはきっと、わたしにとって当てはまる子がメイコだったから。自分の、汚くて醜い部分を見ているようで、「誰かメイコを叩きのめしてほしい」と思った。わたしは、それぞれの死にたい理由を述べるシーンがもっとも印象的で、この小説の重要な部分なのだと感じた。(なっつん)

『子ども』と『死にたい』。人生経験が浅い子どもが世の中や己の人生に対して絶望を語っても、白けるか重たくなりすぎるかでバランスが難しいですよねって思ってたけど、そこは冲方さんの文章や構成のうまさと12人という人数でうまくパラメーターを分けて調節されていてとても絶妙。映画見よう。これを映像にするとなると、個々のシーンのテンポやセリフの微妙なテンポだけでまたバランスを取るのがさらに難しくなるはず、どれだけそこを昇華させて見せてくれるのか楽しみ。(nasca09)

主軸の登場人物は全員10代で、ひとりひとりの喋り方や性格に個性があり、読んでいる途中、こんな人いるよね、と何回も思うくらい人間的でした。話が終盤に近付くにつれ、どんどん話に引き込まれました。だれが犯人なんだろうと考えていましたが、この終わり方は全く想像できなかったです。(柚子)

12人のはずが13人…。謎を解くため話し合いを重ねる。複雑な思いを抱えた子どもたちだが、言葉にするうちに心の闇にかすかな光りが射していく。最後はホッとした。映像で観てみたい作品。(Kewpie)

 この場に集結した12人の子どもたちは、それぞれの「死にたい理由」を告白し合う。家族関係に悩んで自殺をしようとする子もいれば、難病に悩んで死のうとする子もいるし、いじめられて死を決意したという子もいる。だが、話し合えば話し合うほど、彼らは、他人の「死にたい理由」には共感できない自分に気づく。共感できないどころか、「そんなことで死ななくても…」とさえ思ってしまう。シリアスな場であるはずなのに、その姿はなんだかおかしい。話し合うことによって、少年少女たちはほんの少しずつ成長していく。話し合いの果て、彼らはこの事件をどう推理し、どんな結論を出すのだろうか。

 衝撃的なタイトルからは想像もできないクライマックス。すべてはこのクライマックスのためにあったのか。読後感は意外にも爽やかだ。この名作を若手俳優陣はどのように演じるのだろう。この作品の衝撃を、小説と映画でぜひ比較してみてほしい。

文=アサトーミナミ