英単語はじっくり覚えるな! やりがちな“残念な英語勉強法”

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公開日:2019/3/12

『英語学習2.0』(岡田祥吾/KADOKAWA)

 忙しい合間を縫って英会話教室に通ったり、オンライン英会話を試したり、通勤電車の中で英語の勉強をしたり、英語力アップのために努力しているのに成果が実感できない方。もしかすると、今の勉強法が間違っているかもしれない。少しでも心当たりのある方や、これから本腰を入れて英語を勉強しようと思っている方には、ぜひ『英語学習2.0』(岡田祥吾/KADOKAWA)を読んでみていただきたい。

 著者の岡田祥吾氏は、大学を卒業した後に、外資系コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーに就職。コンサルタントとしてキャリアを積みながらも英語ができず、悔しい思いをしてきた。その中で、英語力を向上させるための効果的な方法を模索。それをまとめたのが本書だ。英語の勉強法を紹介した書籍は数多くあるが、本書では「科学的根拠」も示されているので、納得感が増し、英語学習のモチベーション維持にも効果的だ。

■単語はじっくり覚えてはいけない

 英語力を向上させるには、単語の暗記は必須。しかも、仕事で使うとなると、一夜漬けで暗記して、その後すぐに忘れてしまっていいわけではない。ゼロから暗記した単語を、長期的に定着させなくては意味がないのだ。そのために著者が提案する重要なポイントは2つ。

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(1)1つの単語をじっくり覚えない
(2)何回も同じ単語に出会うようにする

 何かを記憶する時には、頻繁に暗記することで、覚えられるまでの時間が短くなっていくことが科学的に証明されている。そのため、復習するまでの時間を短くして、短い期間で何度も同じ単語に出会うことが大切なのだ。さらに本書では、書いて覚えるのではなく、「見て、聞いて、発音して」覚えることが推奨されている。

■例文暗記でスピーキングはできるようにならない

 ビジネス英語を勉強する時に、実際の場面で使えそうな例文を暗記するという勉強法があるが、著者によれば、それはオススメできないそう。「例文で文章化」する時には、自分の知識データベースから例文を探して英語の文章を作るという作業が発生する。しかし、仕事の会話では、例文だけでは対応しきれない。そのため、「単語+文法で文章化」するのが効果的だ。

 つまり、例文の暗記ではなく、単語と文法にフォーカスして勉強すべきだと著者は指摘する。本書で挙げられた例をご覧になれば納得していただけるのではないだろうか? 例文を使えるのは、ごくシンプルなやり取りのみ。実際の会話では、自分で文章を組み立てなくてはならない。

(例文で文章化の例)
相手: How are you doing?
私: I’m good. How are you doing?

(単語+文法で文章化の例)
相手: What did you do yesterday?
私: I went to the Chinese restaurant which is really popular among young people.

「問題解決アプローチ」を使い、科学的根拠を示しながら効果的な学習法を紹介している本書。著者は、モチベーション維持のためにも、「コツコツ」勉強するよりも「3カ月短期集中」型の勉強法を推奨している。勉強を継続していくためにも、一定期間で目標を定めて集中的に勉強することが鍵なのだ。どんな方法であっても、勉強には苦痛が伴う。楽しいだけではない。だからこそ、成果を実感できる効果的な方法を選ぶことが大切なのだ。本書では、勉強のための時間を生み出す方法なども解説されているので、「勉強はしたいけれど忙しくてそれどころじゃない!」という方にもオススメしたい一冊だ。

文=松澤友子