スマホの「自殺相談室」が次々に人を追い詰める! 恐怖のサイバーミステリー『あなたもスマホに殺される』

文芸・カルチャー

2019/3/12

『あなたもスマホに殺される』(志駕晃/KADOKAWA)

 スマホはもはや、私たちの生活にとって欠かすことのできない相棒。スマホはTwitterやインスタグラムなどを介して、不特定多数の人と自分を繋げてくれる魔法のアイテム。しかし、スマホは便利であるがゆえに、使い方を誤れば犯罪を引き起こす恐ろしい道具にもなるということを忘れてはいけない。そう気づかせてくれるのが、サイバーミステリー小説『あなたもスマホに殺される』(志駕晃/KADOKAWA)だ。

 本作は志駕晃氏が手がけた、スマホシリーズ第3作目。同シリーズはオチの読めないストーリー展開が人気を博し、シリーズ第1作目となる『スマホを落としただけなのに』(宝島社)は第15回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉作品に選ばれ、2018年には北川景子主演で映画化された。映画を見てこの独特な世界観の虜となり、続編である『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(宝島社)を手に取ったのは筆者だけではないはずだ。

■スマホの「自殺相談室」が現実を揺るがし始める――

 そんなこれまでのスマホシリーズとはまた違った舞台で物語が繰り広げられる本作は、中学教師である鈴木信二が主人公。ある日、鈴木のスマホに「自殺相談室」というSNSからメールが届いたことを機に、物語は奇妙な方向へ転がっていく。

「自殺相談室」は、メールの受信者が匿名の自殺志願者の相談に解決法を提案していくというもの。解決法は毎回添えられている4つの回答の中から選び、回答し終えると「自殺ポイント」という奇妙なポイントが貰える仕組みとなっている。時には、過去に解決策を提示した相談者から再び相談が届くこともあり、鈴木はますます「自殺相談室」にハマっていった。

 そんなある日、鈴木は自分が解決策として「自殺」を推奨した匿名の相談者が本当に自殺をしてしまったことを新聞で知り、「自殺相談室」の恐ろしさを知る。しかし、他人の悩みを垣間見ることが習慣となってしまった鈴木は、「自殺相談室」から抜け出すことができなくなっていた。

 そして、鈴木が担当クラスの女子生徒・雨宮に教えたことを機に、「自殺相談室」は学校中に蔓延し、不可解な事件が続発する。それにより、鈴木の運命は大きく変わり始めていくのだが――。

 志駕氏が手がけるスマホシリーズには、読者を震え上がらせるホラーなオチがあるが、本作は過去作よりも大きく物語が二転三転するため、物語の終わりが予測できない。特に、255ページからは一気読み必至。衝撃的すぎるラストの1行は、読者の背筋を凍らせるはずだ。

■デジタル機器にコントロールされない人間になるには

 現代はとても便利な世の中だ。スマホの画面をタップすれば、自分の世界が広がったような感覚にもなる。だが、便利な世の中だからこそ、魔法の道具に身を委ねつづけていると、“自分”という人間が一体何なのか分からなくなってしまうこともあるように思う。

 電車の中で一心不乱にスマホを触っている人の多さを実感すると、人間がデジタル機器にコントロールされる時代もやってきてしまうのではないかという恐怖感を抱いたことがあるのはきっと、筆者だけではないだろう。

 これから先の未来では、AIの活躍により私たちの生活はもっと大きく変化していくだろう。だが、私たち人間はそうした便利なツールを使いこなすことが本当にできるのか疑問である。本作は、情報が飛び交うこの時代をどう生き抜いていけばいいかを改めて考えさせてくれる1冊でもある。

文=古川諭香