「デッドライン」は「締切」じゃない!? 外国人と働く上で、上手に誤解を回避するためには

ビジネス

更新日:2019/4/22

『マンガでわかる外国人との働き方』(ロッシェル・カップ、千代田まどか/秀和システム)

「デッドラインは10月15日」

 主人公の葵が外国人にそう伝えて依頼した仕事は、当日になって「締切を1週間延ばして」と言われてしまった。これでは17日のイベントに間に合わない。果たしてどのように伝えればよかったのだろうか。

『マンガでわかる外国人との働き方』(秀和システム)は、そうした外国人と働くときの“あるある”とその対応方法が全31話にわたって紹介されている。異文化コミュニケーション等に関する著書の多いロッシェル・カップさんと、エンジニア兼マンガ家として人気を集め、現在も外国人上司のもとで働くちょまどさんこと千代田まどかさんの強力タッグによる本書。お二人の経験に裏打ちされる実践的な内容が出版直後から人気で、SNSではハッシュタグ「#マンガでわかる外国人との働き方」も盛り上がりを見せている。

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 冒頭の「デッドライン(deadline)」は、原語では「他の優先度の高いものがあったら変更可能」というニュアンスがあるそうだ。したがって葵は「これは変更不可の、厳守されるべき締切です」と正確に伝える必要があった。

 こうした“あるある”は、言葉の使い方に限らずあらゆるところに発生する。

▼言葉できちんと伝えよう

 “阿吽の呼吸”や“以心伝心”は通用しない。言葉のニュアンスの違いも留意しながら、思いは言葉にして積極的に伝えてみよう。また、自己PRを遠慮しないことも大切だ。自分の成果を簡単なレポートにして報告することも本書は勧めている。

▼上下関係にかかわらず、誰にでも丁寧に

「役割が違うだけで同じ人間だもの」と、葵の先輩・ナオコは言う。部下には怒鳴る一方で上司に反対意見を全く言わない人は嫌われる。誰にでも平等に接し、ときには上司に前向きな反対意見を言うことも恐れずに。

▼わかったふりはNG

 わかっていないのにわかったふりをする人は好まれない傾向にある。言葉が聞き取れなかったときは、「Excuse me」と言い、聞き直してみよう。ちなみに、学校で習う「Pardon?」は古い英語で、あまり使われないそうだ。

 読んでみて、ふと感じる。「これらはどの職場でも大切なことなのではないか?」と。本書では、自分と相手の“違い”に目を向け、お互いを尊重しながら歩み寄って働く姿勢の大切さが描かれているように感じられた。

 ところで、葵の名前をなかなか覚えてくれない上司のジャック、どうなることやら……。ナオコ先輩、自分の職場にもいてくれたらな……。それぞれに魅力的なキャラクターを追いかけるのもマンガならではの楽しみ方。彼女たちを通して、外国人との働き方を学んでみよう!

文=えんどうこうた