スパイスの香りに思わずお腹が鳴る!? 本格カレーを手軽につくろう!

食・料理

2019/5/13

『一度にたくさん作るからおいしいカレー』(ナカムラチズコ/成美堂出版)

 カレーの香りを嗅ぐとテンションが上がるのはなぜだろう? そんなにお腹が空いていないときでも、おおいに食欲を刺激してくれる。大のカレー好きの私は、自分でもよくカレーをつくる。初めは市販のカレールウを使ったオーソドックスなものだったが、そのうちスパイスに目覚め、ルウなしの本格的なカレーをつくるようになった。知れば知るほど、スパイスの世界は実に奥深い。カレーにはまる人が多いのは、実はスパイスの魅力の虜になっているのではないだろうか。そんなスパイスカレーを自分でつくりたい人にぜひ手にとってもらいたいのが『一度にたくさん作るからおいしいカレー』(ナカムラチズコ/成美堂出版)だ。

 本書の著者は、栄養士やワインアドバイザーなどの資格も持つナカムラチズコさん。食関連の会社で働いた後、数々の料理家のアシスタントの経験を経て独立した女性だ。彼女もカレーの魅力にとりつかれた一人で、今も本格的な味を求めてインドやスリランカなどでカレーの旅を続けているそう。元々は「カレーは外で食べるもの」という考えだった彼女を変えるきっかけとなったのが、南インドを巡るカレーツアーだったという。とてもおいしいカレーの数々に衝撃を受け、「自分でもつくってみたい!」と思ったそうだ。

 本書では、まず「カレーをおいしくする6つのコツ」が紹介してある。スパイスと一言でいってもその使い方はさまざまだ。具材に下味をつける、ホールスパイスを炒めてオイルに風味をつける、パウダースパイスでパンチを利かせる、フレッシュスパイスで風味を補うといった、スパイスを加える順番や種類によって、使い方を分けるのがポイントとなる。また、カレーの旨みのもととなる炒めタマネギも重要な要素だ。本書では、タマネギは火が通りやすいようハーフスライスにし、中火で焼きつけるように火を通している。あまりタマネギに触らずに炒めるとなると焦げるのが心配だが、焦げそうになったら差し水をすることで焦げ防止になり、さらに蒸気で蒸されて早く火が通るという。おいしい炒めタマネギができるかどうかが、おいしさを決めるといっても過言ではないだろう。

 とろけるようなお肉と濃厚な旨みの「欧風ビーフカレー」や、北インドの定番「バターチキンカレー」、水分の少ない「キーマカレー」など、誰からも愛されるカレーの数々についお腹が鳴ってしまう。インドの北と南ではカレーの特徴が異なり、北インドカレーの特徴は生クリームや牛乳、バターなどの乳製品でコクを出すことだそう。日本でもファンの多いバターチキンカレーも、乳製品をたっぷりと使用することで辛さがマイルドになり、小さい子どもでも食べられるほどだ。本書で紹介してあるバターチキンカレーでは、まず鶏肉をヨーグルトやスパイスなどでマリネしておくのがポイント。こうすることで肉に味がよくなじみ、カレー全体に深みが出る。さらに、たっぷりのトマトを加えることで、くどさがなく食べやすい味わいに仕上がるという。どのカレー作りでも、基本は油でホールスパイスを炒めて香りを出し、さらに具材を炒める際に追加でパウダースパイスを加えること。まずは、バターチキンカレーで基本をマスターしてみてはいかがだろうか。

 小さい頃に母親がつくってくれたカレーが一番という人は少なくないだろう。本書では、「日本のカレー」と称して市販のカレールウを使用するレシピも紹介している。ただし、決してカレールウを入れておしまいでないことは特筆しておきたい。出汁やしょう油、みそ、みりんなどの各種調味料などを駆使した、ひと味もふた味も異なるカレーだ。それでいて、どこか懐かしさを感じる優しいカレーたち。台所にカレールウがちょっと残っているときなどに気軽に挑戦してみてほしい。

 本書は、「スパイスカレーを家庭で手づくりするのは難しい」という概念を覆す一冊となる。カレーを愛するすべての人のバイブルとなることを期待してやまない。

文=トキタリコ