これも五月病? 「何のために働いてるんだろう?」と感じたらすぐ見直したいポイント

ビジネス

公開日:2019/5/13

『「自分の働き方」に気づく心理学』(加藤諦三/青春出版社)

「五月病」におびえている。この原稿を書いている私は、社会人になって初めてのGWを迎えたからだ。新しい環境に馴染むために慌ただしかった4月に比べると、突然訪れた10連休はあまりにも穏やか。そして、時間があるとつい考えてしまう。自分が選んだ仕事は、本当に自分に向いているのだろうか。そもそも、何のために働いているのか…? そんなことを考えているときに、本書『「自分の働き方」に気づく心理学』(加藤諦三/青春出版社)を読んだ。

 何のために働くのか――。誰もが通るこの疑問は、容易に答えが出せないものだ。本書は、この問題に正面から向き合い、私たちに考えるヒントを与えてくれる。キーワードとなるのは、内側から湧き上がる“生きがい”と、自分の外側から与えられる“社会的承認”だ。本書を通じて著者が語るのは、後者よりも前者を優先するべきだということである。

■心の奥にある“認められたい”という欲求に気がつくと――

 著者は、私たちが仕事に求めているものに“生きがい”と“社会的承認”があるという。前者は、自分がやりたいことや、得意なことを仕事にして得られる充実感だ。後者は、いい会社やいい役職につき、成果を出して世間から認められる喜びである。

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 やっかいなのは、後者の欲求。他人の目を気にする私たちは、しばしば“生きがい”よりも、“社会的承認”を優先してしまう。周りからは「いい会社に入ったね」「給料たくさん貰えるんでしょ?」とチヤホヤされながらも、実際に日々の仕事で充足感が得られているわけではない…。こうしたモヤモヤした状況が、「働きたくない」という大人を生み出してしまうのだ。

■「何のために働くのか?」と悩むのは、楽しむ能力がないからかも

 それでは、どうすれば“生きがい”と自身の仕事を結び付けられるのだろうか。アドバイスのひとつは、自分の“楽しむ能力”を上げることだという。「何のために働くのだろう」と悩み込んでしまう人は、さまざまな理由で“楽しむ能力”を失っている場合がある。

 たとえば、「楽しむことは悪いこと」という空気が流れる家庭で育った人は、楽しいことをしようとするたびに罪悪感を抱いてしまうかもしれない。だが、それでは幸せになることはできないはずだ。まずは、自分の内にある「○○したい」という欲求に目を向け、自分を喜ばせてみよう。人生を楽しめていれば、同じ仕事をしていても、苦になるかどうかが違ってくる。そして、自分の“生きがい”になる仕事も、こうした「したい」からつながって生まれてくるはずだ。

 本書を読みながら、あらためて今の仕事を選んだ理由を見つめ直してみた。私の場合は、“生きがい”半分、“社会的承認”半分…といったところだろうか。正直に言えば、「いつかはもっと給料の高い会社に」という夢もなくはない。だが、お金のために“生きがい”を捨てることだけはやめておこう――本書を閉じるとき、素直にそう思った。

文=中川凌